「慶應卒なのに手取り13万円」「2カ月のギャラが900円」 50以上のバイトを経験…芸人・ピストジャムが明かす「バイト芸人のリアル」

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「芸歴20年超えて、本気でそんなこと言ってる奴いないよ」

 バイトしながら、ギャラ500円について考えた。僕のネタの持ち時間はライブによりけりだが、だいたい3分間が多いので、3分で500円もらっていることになる。これをバイトのように時給に換算してみる。3分500円ということは、時給1万円だ。時給1万円の仕事をしていると思うと、少し自分が誇らしく思えた。

 僕はきっと、幸せの基準が低いんだろう。大学を卒業してから、やりたいことを思いきりやっていて毎日楽しいし、芸人として売れるという夢があるので、全然つらいとかひもじいとかいまだに思ったことがない。学生のころにタイや中国にバックパッカーで行ったときのほうがよっぽどたいへんだった。日本は言葉も通じるし、安全だし、寝るところもあるし。

 数カ月前、たまたま吉本の同期の芸人と街で会った。おたがいの近況を話すなかで、僕が「今年こそ絶対に売れる!」と言ったら、「うそでしょ? 芸歴20年超えて、本気でそんなこと言ってる奴いないよ」とドン引きされた。

 どうやら僕は、しばらく会わない間に同期を引かせてしまうほどの、現実離れした能天気野郎に仕上がってしまっていたようだ。

【ピストジャム】
1978年9月10日生まれ。京都府木津川市出身。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。大学卒業後、こがけんを誘って吉本興業の養成所へ入所(東京NSC7期生)。2002年4月にデビューし、「マスターピース」「ワンドロップ」など、いくつかのコンビを経て、ピン芸人となる。ネットメディア「FANY Magazine」で「シモキタブラボー!」を連載中。アイドルのイベントMCなどでも活躍。下北沢カレーアンバサダー。かまぼこ板アート芸人。

デイリー新潮編集部

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