今年まだ5勝、絶不調 アイドルジョッキー「藤田菜七子」に訪れた「またとないチャンス」
藤田菜七子ジョッキー(25)といえば、かつては彼女が騎乗するレースを一目見ようと、競馬場に多くのファンが駆けつけて「菜七子フィーバー」を巻き起こした、ご存知元祖アイドルジョッキーである。しかし今年に入ってから、勝利数はたったの5鞍。43勝を挙げた2019年と比較すると、なんとも寂しい数字になってしまっているのだ。しかし、そんな彼女に、千載一遇のチャンスが巡ってきた。
【写真11枚】まるでアイドル「藤田菜七子」の愛くるしい勝負服姿
競馬記者が言う。
「今年は本当に辛いですね。5勝目を挙げたのが8月14日ですから、もう2ヶ月以上、勝ちに恵まれていないという状況が続いています。2016年のデビュー以来、毎年、二桁勝利だけは外しておらず、不調に終わった去年ですら14勝でした。でも今年はついに、デビュー以来初の勝利数一桁台に終わってしまう公算が高まってきました」
勝ち鞍に恵まれない理由については、
「昨年の秋に鎖骨を骨折してから、調子がまだ戻っていません。『また怪我をしてしまうと復帰できるかわからない』という恐怖が、思い切った騎乗に待ったをかけている感じ。そのせいで勝ちが遠くなり、そうすると馬主さんたちも乗せたがらなくなり、騎乗数が減る。するとまた勝ちが遠のく、という、負のスパイラルに陥ってしまっている印象です」
さらに、
「かつては女性ジョッキーといえば、藤田菜七子が代名詞で、それだけで馬主さんが興味を持ち、騎乗チャンスが巡ってくることもありましたが、今や徐々に女性ジョッキーも増え、彼女だけの特権ではなくなった。さらに、今年デビューした今村聖奈ジョッキー(18)の活躍も、藤田に影響を及ぼしていると思います。今村はすでに中央だけで42勝を挙げ、年内にG1デビューの可能性も出てきました。彼女が活躍すればするほど、藤田の存在がどんどん薄くなっていく。そんな雰囲気に彼女も気付いているはずで、それがプレッシャーになっている可能性もありますね」
厳しい状況が続くが、そんな中、彼女にまたとないチャンスが巡ってきた。
「10月23日(日)に新潟競馬場で行われる、新潟牝馬ステークス(芝2200メートル)です。これに出走する有力馬の鞍上を、藤田が任されることになったのです。このレースは重賞でこそないものの、11月13日(日)に行われるG1・エリザベス女王杯(阪神競馬場、芝2200メートル)の前哨戦という位置付け。ここを勝ち切ることが、どの馬にとっても重要な一戦です」
藤田が乗る馬はというと、
「ニシノラブウインクという、現在1勝クラスの馬ですが、先週行われた秋華賞を見事勝利したあのスタニングローズとも、かつていい勝負を行った(9月10に中山競馬場で行われた紫苑ステークスで、1着スタニングローズの0.3秒差6着)、なかなかの実力馬。気性が荒く、その点が不安視されますが、オーナーの西山茂行氏は自らのブログで、“折り合いの難しい馬だが藤田菜七子なら当たりも柔らかいし、案外ハマるかもしれない”と、期待を寄せています。確実に勝ち負けになる馬で、彼女の今の成績からしたら、またとないほどのチャンス。ここをものにできれば、スランプ脱出の大きなきっかけになるばかりでなく、同馬とのコンビで女性初の平地G1ジョッキーになる可能性も出てきます」
ちなみに藤田、今年の5勝のうち4勝が今回の舞台・新潟競馬場で、相性は抜群。会心の騎乗の後に、久々の菜七子スマイル、拝めるか──。