大谷翔平、今オフもう見納め? 取材制限のウラに「三冠王」の野望

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昨オフから個別インタビュー中止

 米大リーグ、エンゼルスの大谷翔平(28)が10月18日にメジャー5年目の今季を終え、羽田空港に帰国した。「9勝、46本塁打」でMVPに輝いた昨季に勝るとも劣らない「15勝、34 本塁打」の活躍を引っ提げての凱旋に、事前に案内されていた大手紙、スポーツ紙などの日本メディアが大挙して押し寄せた。

 一方で大谷のメジャー挑戦後は、帰国も渡米も日程が周知されることがほとんどなかった。異例の対応だっただけに、報道関係者には「この日の帰国会見で大谷のオフの露出は終わりではないか。今年も多くの社が個別に取材を申し込んでいる。大みそかの紅白の出演などテレビからの依頼も殺到しているはずだが、練習を最優先する選手だから全て受け付けない可能性が高い」との懸念が広がっている。

 大谷はMLB3年目の2020年オフまでは各社の個別取材に応じていた。

「大谷側が指定した日にホテルなどに記者を集め、順繰りに20分ほどのインタビュー時間が与えられていた。大谷は日本に戻ってきてもトレーニングのスケジュールが細かく決まっているようで、取材は1日で効率的に終わらせたいようだった。ギャラは発生せず、場所を確保する費用も大谷側持ち。インタビュー時間は長いとは言えなかったが、新聞社にとっては元日の紙面などを彩るにはふさわしい存在で、重宝していた」(大手紙関係者)

 ところが昨オフは各社対応がなくなり、11月19日のMVP発表を前に、同15日の日本記者クラブだけでの質疑応答に終わった。

「去年はMVPが確実視されていたため、個別取材の申し込みは例年以上に多かったようだ。恐らく大谷側は日本記者クラブで応じることで、それに替えようと考えたようだ。今年はMVPが厳しいことを見越し、記者クラブで対応するほどではなく、この帰国時の会見で済ませたいと思っているフシがある」(同)

早期の契約合意も練習専念のためか

 取材に応じない一方で、バラエティ番組に出演するようなら批判があっても致し方ないが、大谷はオフでも野球漬けの日々を送る。都内の自宅とジムなどトレーニング場の往復にほぼ終始しているという。元NPB球団の監督はその姿勢に感心する。

「メジャーで好成績を残しても浮かれた様子が一切ない。おちゃらけたテレビ番組にも出ないし、うまくなろうと一日たりともおろそかにしていないようだ。おごらず、さらなる高みを目指す姿勢は選手の鑑。一番才能がある選手が一番努力している」

 まさに“練習の虫”だ。

 こうなると、早々と来季契約を結んだ理由についても、ある説が有力になってくる。大谷は今季終盤、エンゼルスと3000万ドル(約45億円)で来季契約の合意に至った。ムーキー・ベッツ(ドジャース)のレッドソックス時代の2700万ドルを超え、年俸調停の権利を持つ選手では史上最高額。同時にダルビッシュ有(パドレス)がカブス時代の18年に手にした日本人最高年俸2500万ドルも上回った。

 それでも、なぜ大谷は年俸調停の権利を盾にぎりぎりまで交渉しなかったのか、疑問視する声は根強い。米メディアでは未だ、二刀流で一流選手の二人分の働きをしたことを根拠に、5000万ドルにトライすべきだったとの論調もあるほどだ。

 大手マネジメント会社のMLB代理人はこう指摘する。

「大谷の契約はエンゼルスに利点が多い。年俸が予想以上に抑えられたことで(エンゼルスが進める)球団売却交渉でも相手へのPR材料になった。さらに、大谷の値段が決まっていればトレード成立も容易になる。逆に大谷の利点は何かと考えると、金銭的には見当たらない。(スコット・)ボラスのような辣腕の代理人なら調停も辞さなかっただろう。一つ言えるメリットとしては、選手にとって煩わしい交渉事をオフに入る前に済ませたことで、練習に没頭できるようになったということ。通常なら考えられないことだが、おカネに執着せず野球を極めることが身上の大谷は、オフの練習に専念するため、ほどほどの契約で妥協したというのが真相なのかもしれない」

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