LUUPは飲酒対策強化も 電動キックボードがはらむ「ヘルメットはダサい」のジレンマ
車輪が小さく転倒しやすい
上西氏は、ドライブレコーダーを活用した交通事故防止策に取り組んでいる。
「これまで電動キックボードが絡む事故のドライブレコーダーの映像は見たことがありませんが、今後はキックボードと車、キックボードと歩行者の衝突事故なども増えてくるでしょう。車を運転していて電動キックボードに乗っている人を見つけた時は、出来るだけ車間距離を空け、追い越すときは『いつ転倒してもおかしくない』と考え、極端なほど間隔を空けた方がいいと思います。電動キックボードは車輪の大きさが小さいので、ちょっとした段差でも乗り越えられず、転倒する可能性も高いです」
電動キックボードに乗っている側が運転中、特に気を付けるべきことはなにか。
「特に注意が必要なのは、進路変更をするとき。後ろから車が突っ込んできて衝突事故を起こす可能性が高いので、車を運転する時と同じ意識で、ミラーなどで後方確認をする癖を付けるようにしてください。車の運転者側も、前の電動キックボードが進路変更しそうなときは、特に注意が必要です」
ヘルメット着用は任意
上西氏が強調するのは、ヘルメット着用の必要性だ。
「愛知県下の自転車事故のデータを見ると、死亡事故の95%はヘルメット未着用で起きています。重大な事故を防げる可能性は高いので、電動キックボードでも、ヘルメットの着用は任意ではなく義務にすべきだと思います」
それには、転倒する際に自転車と共通する危険性があるからだという。
「人は、歩行中に転倒しそうになったら、とっさに受け身をとって頭を守る体勢をとれるのですが、自転車に乗っている時は、転倒しそうになってもハンドルにしがみついてしまうことが多い。恐らく電動キックボードに乗っている時も同じで、ハンドルにしがみついてしまうと思います。受け身をとらずに転倒すれば大けがに繋がりますから、ヘルメットで頭を守るのが大事なんです」
現在、ヘルメットの着用は任意で、LUUPをはじめとするレンタル業者の広告でもヘルメット未着用の写真が用いられている。
「電動キックボードは手軽でスタイリッシュなイメージですから、ヘルメットを着けるのを嫌がる人は多いでしょうね。任意では着ける人がいないのも当然です。着用を義務化したら、利用者は減るかもしれません。それでも重大な事故を防ぐためには必要だと思います」
実際、ヘルメットを普段から持ち歩くのか、その場で貸し出すのかなど、運用の問題もありそうだ。
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