「年金45年納付延長」に隠された意図 サラリーマンにも影響必至! 厚労省が目論む「75歳まで現役社会」到来の悪夢
厚生年金加入年齢も引き上げ
すでに厚労省は19年の年金財政検証時において「納付5年延長」案をシミュレーションしていたという。
「つまり今回の延長方針は既定路線なのです。同年の検証では、厚生年金の加入年齢上限を現在の70歳から75歳にまで引き上げるプランも示されています。厚生年金保険料率はすでに18.3%で固定されているので、保険料収入を増やすには加入者の母数を増やす以外に手は残されていません」(稲毛氏)
国民年金の延長案と併せて、これらが意味するものは何か。稲毛氏によれば「政府が国民に向けて“年金で老後を悠々自適に暮らすのはもはや難しいので、体の動くうちはずっと働いてください。そのうえで保険料もきちんと納めて年金制度の維持に貢献してください”との隠れたメッセージを発している」という。
年金の財政検証は5年に一度行われ、次回は24年に控える。その時、国民年金の納付期間延長案とともに、厚生年金の加入年齢引き上げもセットで検討される見込みという。
「一番の問題は、本来は納付期間の延長は年金財政の安定に寄与する方策のはずが、国民の大半は逆に不安と不信の念を強めている点です。今回のように、国民から“制度を延命させるための対症療法に過ぎない”と見透かされる弥縫策を繰り返すばかりでは年金不信を強める悪循環に陥るだけ。もはや年金は国民に安心感を与えられない制度に成り下がってしまったことを政府は強い危機感とともに自覚すべきです」(稲毛氏)
臆面もなく「100年安心」などといった“大風呂敷”をよく広げられたものだ。