ドラフト「サプライズ指名」は結局成功したのか? すぐに戦力外になったケースも

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「外れ外れ外れ1位」

 いよいよ10月20日に迫ったプロ野球のドラフト会議。ここまで巨人やソフトバンク、日本ハムなどが1位指名を公表している一方で、毎年必ず起こるのが“サプライズ”と呼べる指名だ。近年は、高校生と大学生にプロ志望届の提出が義務付けられ、本当の意味での“隠し玉”と呼べる選手は少ないが、それでも会場がどよめく“サプライズ指名”がたびたび起こっている。では、サプライズ指名を受けた選手は、果たして、厳しいプロの世界で成功したのだろうか。【西尾典文/野球ライター】

 ドラフト1位指名を受けた選手で、まず名前が挙がるのが、2017年にソフトバンクが指名した吉住晴斗(鶴岡東)である。この年のソフトバンクは、清宮幸太郎(早稲田実→日本ハム)、安田尚憲(履正社→ロッテ)、馬場皐輔(仙台大→阪神)と3度も1位の抽選を外し、4度目の入札で、ようやく吉住の交渉権を得た。つまり、吉住は「外れ外れ外れ1位」となる。

 高校時代の吉住は、それほど目立った実績を残していない。2年夏に控え投手として甲子園に出場したものの、1イニングを投げたのみ。2年秋はエースとして東北大会に出場するも、2回戦で敗退したほか、最後の夏は、山形大会の3回戦で敗れている。

「まさか1位で行くとは……」

 185cmの長身と140キロ台中盤のストレートで、山形県内や東北では注目されていた存在だったとはいえ、「1位候補」として挙げている報道は“皆無”だった。吉住を担当していた他球団のスカウトは、当時の吉住について、こう振り返る。  

「2年生の時から投げていましたし、体が大きくて、それなりにスピードも出ていたので、もちろんチェックはしていました。ただ、まだまだ粗削りで、コントロールや変化球が不安定。大きな大会や強いチームを相手に勝てるピッチャーではなかったですね。指名リストに吉住の名前を残していても、育成(での指名)で考えていた球団が、ほとんどだったと思います。ソフトバンクが、まさか1位で行くとは夢にも思っていなかったので、(ドラフト当日に)名前を呼ばれた時は本当に驚きました。(当時は)ソフトバンクの戦力に余裕があったのでしょう。そうでなければ、吉住をとても1位で指名できないです」

 吉住自身も指名を受けた時のインタビューでは、育成指名だと思っていたと話しており、本人にとってもまさにサプライズだったようだ。しかし、一躍注目の的となった吉住だが、プロ入り後は二軍でも結果を残すことができず、4年目の21年からは育成契約へと移行。サイドスローに挑戦するなどしたものの、結局、この年限りでユニフォームを脱ぐこととなった。

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