「長男を政務秘書官に」で国民から総スカンに岸田首相はどう反応したか?

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権力のど真ん中での親心

 長男の翔太郎氏(31)を、政務秘書官に起用した岸田文雄首相(65)。起用を発表した時点から様々な批判が展開された。こういった国民の声に対して、首相自身はどんな反応を見せたのか?

《今回の人事に当たっては、休日・深夜を問わず発生する危機管理の迅速かつきめ細かい報告体制、党との緊密な連携、ネット情報、SNS発信への対応など、諸要素を勘案し秘書官チームの即応力の観点から、総合的に判断した次第であります》

 岸田首相は、長男の秘書官への起用の理由を国会でこう語っている。

「表向きはそういう理由ですが、将来的な世襲を見据えて権力のど真ん中で経験を積ませたいという親心でしょう。得難い経験になると思いますよ」

 と、政治部デスク。

 翔太郎氏は慶大法学部政治学科を卒業後、三井物産で6年勤務し、2020年からは首相の公設秘書を務めてきた。独身だという。

「これまでもそうですし現在も、家族や親族を公設秘書として雇用している例は与野党にまたがってたくさんありますから、今回の件もここまで非難されるものかなぁというふうに思ったりもしました」(同)

なぜこのタイミングなのか?

「言うまでもないことですが、人を雇うのにはリスクが伴います。その点、家族や親族であれば人となりをある程度理解しているので、その点ではリスクが低い。国会議員が公設秘書として家族や親族を雇うケースが多い理由は、そこにあると思います。一方、国民の側から見れば、税金で給与が賄われる公設秘書に身内を雇うとはけしからんということで、埋め難い溝が存在しているというわけです」(同)

 かつても、家族や親族を政務秘書官にする大臣や首相はいた。

「その際、批判が巻き起こった記憶はありません。今回はひとえにタイミングが悪かったせいだと感じます」(同)

 タイミングとはつまり、首相の政権運営が国民に理解されていない、共感を得ていないことに尽きる。

「政権に逆風が吹いていなければ何てことはなかったと思います。それだけに首相周辺も“なぜ今、国民に絶対理解されない人事をするのか?”という疑問がつきまとったと言います」(同)

「聞く力」をモットーにする岸田首相はそれだけ万事に慎重ということなのか、就任から1年が経ったにもかかわらず、実績に乏しい。

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