「リブゴルフ」が世界ランキング対象ツアーになる日は来るのか?

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条件は他にも…

 さらに、もう1つ。リブゴルフはオープン性を欠いた閉鎖的なツアーと見なされており、そこを改善する必要性も指摘されている。

 第7戦終了後、リブゴルフ独自のポイントランキングの上位24名には、来季の出場資格が確保されることになっている。それとは別に、チョー氏が率いるアジアツアーのインターナショナル・シリーズから最低でも数名、それにミケルソンやジョンソンのように、あらかじめ複数年契約を交わしている選手が加わると、全48名の枠はあっという間に埋まってしまう。

 そこに、たとえばPGAツアーなどの主要なツアーで常日頃から行われているマンデー予選のようなオープン・クオリファイを設け、外部からも参加できる道を開くことが、世界ランキング対象ツアーとなるためには求められると考えていい。

 さらに言えば、PGAツアーは「米国拠点」、DPワールドツアーは「欧州拠点」、MENAツアーは「中東や北アフリカ」という具合に、世界ランキング対象ツアーには、どれも地域性があることが特徴。しかし、リブゴルフはサウジアラビアの政府系ファンドが経済的に支援しているものの、ツアーの本部は米フロリダ州にあり、ツアーを展開する場所は米国、欧州、アジア、中東とさまざまで、「どこのツアーなの?」という問いに一言で答えることが難しい。いわば「ワールドワイドなツアー」であり、本来ならグローバルな広がりを持つリブゴルフこそは、世界ランキングによって強さが示されて然るべきなのだろう。

 それなのに、そうなっていない理由、なかなかそうなりそうもない原因を作り出したのは、リブゴルフ自身である。

 まずは掲げられている条件をクリアする努力と工夫が期待され、それが徒労に終わる可能性もあるのだが、今は無駄骨を折ることも覚悟の上で、じっくり取り組む構えを見せるべきときではないだろうか。

 お金では買えないものを欲するときは、往々にして努力と時間がかかるものだ。

舩越園子(ふなこし・そのこ)
ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学客員教授。東京都出身。早稲田大学政治経済学部経済学科卒。1993年に渡米し、在米ゴルフジャーナリストとして25年間、現地で取材を続けてきた。2019年から拠点を日本へ移し、執筆活動のほか、講演やTV・ラジオにも活躍の場を広げている。『王者たちの素顔』(実業之日本社)、『ゴルフの森』(楓書店)、『才能は有限努力は無限 松山英樹の朴訥力』(東邦出版)など著書訳書多数。1995年以来のタイガー・ウッズ取材の集大成となる最新刊『TIGER WORDS タイガー・ウッズ 復活の言霊』(徳間書店)が好評発売中。

デイリー新潮編集部

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