「リブゴルフ」が世界ランキング対象ツアーになる日は来るのか？
世界ランキングの対象ツアーとして認定されることを渇望しているリブゴルフ。10月5日には、中東や北アフリカの草の根ゴルファーのためのディベロップメンタルツアー「MENAツアー」と戦略的提携を締結した。しかしながら、その奇策が失敗に終わったことは既報の通りだ。リブゴルフが世界ランキングのポイントをもらえる日は、いつになるのだろうか。【舩越園子／ゴルフジャーナリスト】
歓声を上げた翌日に…
事の顛末を簡単に振り返ると、リブゴルフは、すでに世界ランキングの対象となっているMENAツアーの一部になることで、世界ランキングのポイントをもらおうと目論んだ。
「リブゴルフでも世界ランキングのポイントを稼げることになった」と、リブゴルフCEOのグレッグ・ノーマンをはじめ、リブゴルフ選手たち一同は一斉に歓喜の声を上げた。しかし、その奇策は世界ランキングをつかさどるOWGR（オフィシャル・ワールド・ゴルフ・ランキング）によって即座に否定され、リブゴルフの喜びは一夜にして「ぬか喜び」で終わった。
ノーマンらは、タイで開催の第6戦（10月7～9日）とサウジアラビアで開催の第7戦（10月14～16日）で世界ランキングのポイントを稼ぎ、低下の一途を辿っているリブゴルフ選手たちの世界における位置づけを少しでも回復させ、来年のメジャー4大会につなげることを期待していたのだが、結局、それは叶わなかったのだ。
最も稼いでいるのは誰か？
振り返れば、リブゴルフが創設された今年6月以来、初戦から第2、第3戦あたりまでは、PGAツアーやDPワールドツアーから「誰がリブゴルフへ移るのか？」が注目を集めた。
元世界ランキング1位のダスティン・ジョンソンをはじめ、フィル・ミケルソン、ブルックス・ケプカ、ブライソン・デシャンボー、セルヒオ・ガルシアといったメジャー・チャンピオンたちが次々に移籍したリブゴルフは、豪華な顔ぶれが勢ぞろいした。
彼ら自身、「僕らは世界ランキングのポイントをもらうに値する」「僕らを含めずして世界のプロゴルファーの正当な評価などできるはずがない」「僕らを含めないのならOWGRは“オフィシャル”のOを外すべきだ」などと強気の姿勢を見せ続けてきた。
そして、第5戦終了後にMENAツアーとの提携という妙案を発表し、ゴルフ界を騒然とさせたのだが、結局、OWGRから却下されたため、第6戦も第7戦も世界ランキングとは無縁の大会となり、これで今年のストロークプレー全7試合がすべて終了した。
ピーター・ユーラインとの3ホールにおよぶプレーオフを制し、第7戦で勝利したのは、2021年以来、優勝から遠ざかっていた米国出身のケプカだった。7試合を終えた今、最も稼いでいるのは3160万ドル（約46億9700万円）のジョンソン。1860万ドル（約27億6500万円）のブランデン・グレースが続き、PGAツアーでは稼ぎきれず下部ツアー選手と化していたユーラインが1130万ドル（約16億7900万円）で3番目に付けているあたりは「へー」と驚かされる。
だが、華々しい花火や轟音を立てながらの航空ショー、賑やかなバンド演奏にコンサートまで開催され、物珍しさも手伝って出だしこそ派手な印象だったリブゴルフは、今、世界ランキングの対象外のまま、今季最終戦となるチーム戦のみの第8戦を迎えようとしており、そこには少々寂しげな雰囲気が漂い始めている。
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