全てを知った妻の嘔吐にショックを受けて… 41歳夫が「ソウルメイト」と呼んだ女性との関係性は?

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劇的な出会い

 4年前、大学時代の友人数人と会った賢剛さん。一軒目の店を出ると友人が「おもしろいところへ行こう」と言い出した。それがSMバーだったのだ。

「SMって聞いても鞭とか緊縛とか、その程度しか知りませんでした。そういうところへ行くのもちょっとと日和ったんですが、友人が『女王様がなかなか素敵なんだよ』と。まあ、ショーみたいなものもやっているし、見ているだけでいいというので同行しました」

 友人は何度か行ったことがあるようで、3人で店を訪ねると店のママが大歓迎してくれた。ソファ席に座り、目の前で繰り広げられるショーを見たという。

「そこで女王様をしていた女性に目が釘付けになりました。すらっと背が高くてびちびちのゴムかビニールかの服を着ていて。彼女が鞭を振るうときの手首のしなりがすごく美しかった」

 確かに女王様が素敵だねと友人に言うと、あとで席に来てもらおうということに。賢剛さんの隣に彼女が座ったとき、かすかに汗ばんだ匂いがして、それが彼の欲情を呼び起こした。

「女王様に何と話しかけたらいいかわからなくて。そうしたら彼女のほうから、『こういう趣味があるんですか』と聞いてくれました。自分の嗜好はわからないけど、あなたになら打たれたいと言ってしまった」

 彼女はニヤリと笑って立ち上がり、前方の空間に彼を呼んだ。そして彼は彼女に見事に鞭打たれたのだという。友人の前で、他のお客さんの前で。

「恥ずかしいと思いましたが、その羞恥心がなんともいえず快感なんです。どういうことかわからなくて、自分でもちょっとパニックになりました。その後、ワイシャツを脱いで、Tシャツの上から縛ってもらったんですが、彼女が体に縄をかけるたび、僕は興奮していった。今まで“気持ちがいい”と思っていた感覚より、何百倍も鋭い快感でした」

 縄を解かれたあとも、彼は頭がクラクラして、今起こったことがどういうことか納得できないままだった。席に戻ると友人が「大丈夫か?」と水を差しだしてくれたのを覚えていると彼は言う。一気にそのグラスを飲み干した。それでもまだ喉が渇き、心臓が音を立てて鳴っていた。

「女王様が隣に来て、『あなた、すごく才能あると思う。また遊びに来て』と言ってくれた。その日は友人を残して、僕は先に帰りました。しばらく繁華街をひとりで歩きながら、今のは何だったんだと自分に問いかけていた」

指一本触れないのに…

 衝撃的な体験だった。羞恥心と快感、縄が肌に食い込む感覚を思い出すと、全身から力が抜けていくような気がした。

「危ない世界だと思いました。このままいくとはまってしまう。それが頭のどこかでわかっているから、もう行くまいと決意したんです」

 だが、その決意は1週間ともたなかった。体中のすべての細胞が「もっと知らない世界を知りたい、未知の快感を味わいたい」と叫んでいるのだ。抗いきれず、彼は1週間後にひとりで店を訪ねた。

「例の女王様、マキが『来ると思ってた』と迎えてくれ、いろいろ話すことができました。僕はもう、条件反射のように彼女の顔を見るだけで快感物質が脳内に出まくりみたいになっていまして。落ち着きなさいと言われました。その日は彼女に縛られて放置されたんですが、彼女はそのまま他のお客さんと仲良く話していた。僕の頭の中は嫉妬でいっぱい。それがなぜかスムーズに快感に移行していく。そんな経験も初めてでした」

 性交渉どころかキスさえいっさいない。彼は女王様に指一本、触れてもいない。それなのに彼女と、心と心が会話しているかのような気持ちになっていく。目と目を 見つめ合い、さらに縄で縛られたとき、彼はあまりの気持ちよさに失神してしまった。

「気持ちいいという言葉では表現しきれない。別の世界を見た感じとでもいったほうがいいかもしれません。そんな女性を忘れられるわけはないですよね」

 賢剛さんは、週末になると彼女に会いに行った。ごくまれに店が終わった彼女と一杯飲みに行くこともあったが、店の他の女性も一緒だった。ふたりきりになりたい思いはあったが、彼自身、店外でマキさんと向き合うのが怖くもあった。

「僕は家庭も仕事もあって、社会的にはごく普通の顔で暮らしている。でも店外でマキさんに会ったら、そういう社会生活も投げ出してしまいそうで……。あのころはまったく自分の気持ちを整理し切れていなかったんです」

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