巨人・原監督はドラフトで「1勝11敗」…阪神・岡田新監督も“くじ運”が悪すぎる

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本命くじ以上の“グッドジョブ”

 1勝を挙げている原監督に対し、通算5戦全敗と1度も当たりを引くことができなかったのが、近鉄、日本ハム時代の梨田昌孝監督である。

 近鉄時代は1999年に河内貴哉(元広島)、2002年に高井雄平(元ヤクルト)を外し、日本ハム時代にも07年の大学・社会人ドラフトで大場、「外れ1位」の服部泰卓(元ロッテ)と連敗。09年には、6球団競合の菊池雄星(現・ブルージェイズ)を逃して、ついに“5連敗”となった。

 翌10年は藤井純一球団社長が代わりにくじを引いて、見事に4球団競合の斎藤佑樹を引き当てると、梨田監督は「すごいことをしたんだなあと思う。まあ、自分がしたわけじゃないんだけどね」と、他力本願ながら“生涯初の抽選勝ち”にまんざらでもなさそうだった。

 これにならってだろうか、3球団目の楽天時代も、初年度から立花陽三球団社長がくじを引いたが、15年は平沢大河(現・ロッテ)、17年は清宮幸太郎(現・日本ハム)と「外れ1位」の村上宗隆(現・ヤクルト)を相次いで外してしまい、3戦全敗。球団社長の“代打作戦”も通用しなくなり、梨田監督は、指揮した3球団で、自力他力を併せて「通算1勝8敗」となってしまった。

 一方、本命くじは全敗にもかかわらず、外れ1位の抽選で無類の強みを発揮したのが、ヤクルト・小川淳司監督である。

 初年度の2010年は日本ハムに斎藤をさらわれたあと、「外れ1位」の塩見貴洋(現・楽天)の抽選にも敗れたが、オリックスと競合した「外れ外れ1位」の山田哲人の抽選で“3度目の正直”を手にした。

 13年にも大瀬良大地(現・広島)を外したあと、ソフトバンクと競合した杉浦稔大(現・日本ハム)の獲得に成功。清宮幸太郎の抽選に敗れた17年にも、巨人、楽天と競合した村上宗隆を引き当てた。山田、村上がともに球界を代表する大選手になったことを考えれば、本命くじを当てた以上の“グッドジョブ”と言えるだろう。

前代未聞の“1位抽選3連敗”

 来季から15年ぶりに阪神を率いる岡田彰布新監督も、“くじ運の悪さ”では、原監督に引けを取らない。

 1期目の阪神監督時代は、06、07年の高校生ドラフトで本命の堂上直倫、中田翔(現・巨人)を2年連続で外し、横浜と競合した中田の「外れ1位」高浜卓也の抽選で勝利を収めたものの、同年の大学・社会人ドラフトでは大場を外し、「通算1勝3敗」と負け越した。

 さらに、オリックス監督時代の10年には、6球団競合の大石達也(元西武)を外したあと、「外れ1位」伊志嶺翔大(元ロッテ)、「外れ外れ1位」山田哲人も当てることができず、前代未聞の“1位抽選3連敗”となる。大石は「(競合球団が)4つくらい」の読みが外れた結果で、外れ1位も「重複するとは思わなかった」の思い込みが裏目に出た。

 この日の岡田監督は、大阪から品川駅到着時に迎えの車がなかなか来ず、ドラフト終了後も帰りの車がスムーズに手配できなかったことから、「また、車けえへんやん」と終始イライラ。ツキのない日には、送迎の車すらも思いどおりにいかなかったようだ。

 そして、翌11年も3球団競合の高橋周平(現・中日)の抽選に敗れ、オリックス時代は「通算0勝4敗」と1度も当たりを引くことができなかった。岡田監督自身、11年ぶりの参加となる今年のドラフト。幸運の女神は、大学時代からの“永遠のライバル”原監督とどちらに微笑むのか、それとも……?

久保田龍雄(くぼた・たつお)
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍「プロ野球B級ニュース事件簿2021」上・下巻(野球文明叢書)

デイリー新潮編集部

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