大城も小林もダメで正捕手不在…巨人はFAで西武「森友哉」を獲得するしかないのか

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桁違いの重責

「1軍の正捕手は、打席に立つバッターのクセや動きを敏感にキャッチし、狙い球を見抜かなければなりません。現役時代の野村さんや一緒にプレーした古田は、それができたのです。野村さんはよく『カウント0−0はバッター有利』と言っていました。ピッチャーが球を投げる前なので、どんなに優秀な捕手でも、バッターのクセや動きを読み取ることができず、その狙い球が読み取れないからです」(同・広澤氏)

 捕手は打者の狙い球を見抜きながら、「緩と急」「内角と外角」「高めと低め」「ストライクかボール」という16パターンの組み合わせから配球を選び、投手に提案する。

「捕手に求められるのは、バッターを見る観察力、ヤマを張っているボールを見抜く洞察力、ピッチャーの調子に加え、屋外球場なら風向きなどを考える判断力、そして自分がリードするという決断力が求められるという、桁違いの重責を担うポジションです。一朝一夕に育つはずもありませんし、大城くんと小林くんがそのレベルに達していないのは明らかでしょう」(同・広澤氏)

 広澤氏は、野村監督が古田氏に手取り足取り根気よく教えている姿を鮮明に憶えているという。

コーチの責任

「古田は頭が良く、吸収力が図抜けていました。野村監督の教えを自分のものにし、球史に残る名捕手になったのは皆さんがご存知の通りです。しかし、プロ野球選手にも様々なタイプがいます。どんなに丁寧に教えられても飲み込みの悪いキャッチャーもいて、それは決して珍しくはありません」(同・広澤氏)

 大城や小林は著しい成長を見せなかった。しかしそれは、2人の責任ではないという。では一体、誰の責任なのか?

「はっきり言えば、バッテリーコーチです。私はこの10年間、巨人は正捕手を育てるつもりがあるのだろうかと疑問に感じ、ことあるごとに警鐘を鳴らしてきたつもりです。大城くんも小林くんも、バッテリーコーチからつきっきりの指導など受けていません。野村さんが古田に教えていた姿とは全く違います。あれではプロの捕手として成長するはずもありません」(同・広澤氏)

 巨人の正捕手と言えば、村田真一氏(58)と阿部慎之助氏(43)の名前が浮かぶ。だが、2人ともバッテリーコーチ専従というわけではない。

獲得すべきは、あの人

「村田さんはバッテリーコーチに就任したこともありましたが、特に後年は1軍ヘッド兼バッテリーコーチと専従ではありませんでした。阿部さんも来シーズンから1軍ヘッド兼バッテリーコーチに就くことになっています」(同・広澤氏)

 以上の背景から、広澤氏は「巨人は森くんを獲得する必要はありません」と言う。

「なぜヤクルトが捕手の育成に成功しているかといえば、野村さんがノウハウを残してくれたからです。森くんが巨人に移籍して活躍したとしても、それが球団の蓄積になることはありません。巨人の正捕手不在を打開するためには、古田や達川光男さん(67)といった球史に残る名捕手を三顧の礼で迎え、バッテリーコーチとして長期間、専従させることしかないと思っています」

デイリー新潮編集部

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