「五輪汚職」に口を噤むスポーツ界 山下泰裕JOC会長、室伏広治スポーツ庁長官が今すぐすべきことは何か

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 東京五輪組織委の高橋治之元理事に絡む贈収賄事件が発覚してすでに3ヵ月近くが経過した。いまだ全容解明には至っていない。拘留期限を迎えるたび新たな容疑と逮捕者が出る展開が続き、逮捕者はまだ増える可能性がある。また、捜査が今後どのように進むのか、事件の核心はまだ見えないままだ。

聞こえてこない声

 不正が明らかになり、悪しき体質や組織的課題が一掃されればスポーツ界にとって不幸中の幸いと言えるかもしれないが、実際のところ、逮捕者が出たからといって、スポーツ界が良くなる兆しはほとんど見えてこない。

 何しろ、日本のスポーツ界のリーダーであるはずのスポーツ庁・室伏広治長官、JOC(日本オリンピック委員会)山下泰裕会長、そして、日本スポーツ協会の会長の誰ひとりとして、この事件に当事者として発言も行動もしていない。他人事のように遺憾の意を表明し、スポーツ界への影響が最小限で終わってほしいと祈っているかのような発言に終始している。

 とりわけ、スポーツ界の総本山ともいうべき日本スポーツ協会会長の声は一切聞こえない。会長が誰かも、ほとんど一般に知られていないのではないか。それほど影が薄いし、この一大事にあってなんら発信していない証拠と言えるだろう。

 ちなみに現会長は、味の素の元会長である伊藤雅俊氏が務めている。言うまでもなく味の素はいま日本のスポーツ界になくてはならない協賛企業のひとつだ。東京2020でも会場となった「味の素スタジアム」、オリンピック選手団の本拠地ともいえる「味の素ナショナルトレーニングセンター」、いずれも味の素がネーミングライツを取得している。味の素スタジアムは開場の2年後に契約してすでに3度更新を重ね(4期目)、2024年2月まで契約がある。契約金の合計は47億5000万円。ナショナルトレーニングセンターとは現在2期目、2025年3月までの約8年で契約金は6億円(年額7500万円)と公表されている。スポーツ界のトップが、主要スポンサーの元トップという現実が日本のスポーツ界の体質をよく表している。

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