習近平はゼロコロナに固執で、中国共産党大会がオワコンになる日
経済成長の鈍化
長年、成長の牽引役となってきた不動産業界も苦境から抜け出せないでいる。
中国の8月の住宅価格は12ヶ月連続して前月比マイナスとなった。
2022年8月時点の中国の住宅時価総額は前年比3%減の約597兆元(約1京2000兆円)となった(9月29 日付日本経済新聞)。21世紀以降で初の下落であり、この傾向は当分続く可能性が高い。
世界各国がインフレに苦しんでいる中、中国では不動産市場の不調による需要低迷がデフレを引き起こすと危惧され始めている(9月28日付ブルームバーグ)。
不動産危機が金融システムに波及するとの懸念も生まれている。
海外マネーも中国の金融市場から退出する動きを強めている。経済の急減速に加え、ロシアにまつわる地政学リスクも意識され、外国人投資家は8月まで7ヶ月連続で中国債券の保有を減らした(流出額は約12兆円)。人民元への売り圧力も高まるばかりだ。
経済成長の鈍化は労働市場を直撃している。
中国人民銀行が策定した第3四半期の就業センチメント指数は35.4となり、2010年の統計開始後の最低を記録した。
急速に進む少子高齢化も成長の足を引っ張る。
2021年末時点の中国の60歳以上の人口は2億6700万人であり、2025年末までに3億人を超えると見込まれている。
一方、教育費負担などが原因で低下している結婚率や出生率がゼロコロナ政策のせいでさらに押し下げられている。
このように、中国経済は満身創痍と言っても過言ではないが、その悪影響を最も被っているのは若年層だ。
中国の今年の大学新卒者は1076万人と史上初めて1000万人を突破したが、就職率は2割に届かなかったと言われている。職にあぶれた大卒者が、当座の収入を得るため、個人タクシーの運転手やデリバリー配達員になるケースが当たり前になっている。
若年層全体の失業率は20%近辺と記録的な水準で推移しており、中国のミレニアル世代はますます虚無的になっていると言われている。国の将来を担う若者が希望を持つことができなければ、経済に活力が生まれるわけがない。
古い成長モデルからの脱却が困難な一方で、新しい成長の原動力が見つかっていないというのが中国経済の現状だ。
中国経済の長期低迷が確実視されていることから、党指導部は「経済発展」という看板を下ろさざるを得ないのだろうが、「経済発展」という目玉を失えば、中国共産党大会が今後その輝きを失うのは明らかだろう。
ゲーム、アニメなどの分野を中心に「オワコン」という言葉が流行っている。「終わったコンテンツ」の略であり、ブームが過ぎて人気が下火になったものや人々の興味を引かなくなったものなどを意味している。
中国共産党大会がオワコンになるのは時間の問題なのではないだろうか。
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