習近平はゼロコロナに固執で、中国共産党大会がオワコンになる日

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 中国共産党大会が5年ぶりに10月16日から開催される。

 3期目の党書記を務めることが確実視されている習近平氏が今後5年間、中国をどのように運営していくかが明らかになるとして、世界の注目が集まっている。

 党大会がこれほどまでに重要視されるようになったのは、中国が21世紀に入り、世界経済を牽引する存在になったからだ。2008年の金融危機以降、世界の中国経済への依存はさらに顕著になっている。

 江沢民が総書記を務めていた2002年から党大会の最優先課題は「経済発展」となった。習氏が総書記になってからもこの路線は継承されてきたが、今回、それが見直される可能性が指摘されている。

 党大会の直前に開催された第19期中央委員会第7回全体会議(7中全会)で、習氏の党の「核心」としての地位を確実にし、習氏の政治思想の指導的地位を確固たるものにするという趣旨の「二つの確立」が党規約に明記されることになった。

 党大会を前に習氏の業績を讃える展示会が開かれるなど個人崇拝の動きも加速しているが、注目すべきは専門家の間で「『党指導部は政治的安全保障のために経済成長の鈍化を受け入れる』という歴史的な政策転換を行うのではないか」との憶測が生じていることだ。

ゼロコロナの代償

 憶測の根拠となっているのがゼロコロナ政策への固執だ。

 習氏は「命を最優先する」として、経済を犠牲にしてでも感染を徹底的に抑えこむ姿勢を示してきた。脆弱な医療体制の下、ゼロコロナ政策を転換して感染爆発が起きれば、3期目を目指す指導者としての権威に傷がつく恐れがあり、方針転換には慎重にならざるをえないという事情があったことは容易に想像がつく。

 だが、その代償は大きかったと言わざるを得ない。

 全国各地で行われている都市封鎖(ロックダウン)などが災いして、中国の第2四半期のGDP成長率は0.4%にとどまり、今年の成長目標(5.5%前後)の達成は事実上不可能になっている。

 企業業績が圧迫される中で、PCR検査などを手がけている企業の今年上半期の売り上げと純利益が大幅に増加したことが明らかになっている 。「検査企業栄えて万骨枯る」という笑えない状況となっている。

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