里見香奈女流五冠が棋士編入試験に失敗 名棋士「米長」の格言を地で行った3人の若い試験官

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地元の応援に笑みも

 これで里見が(男性)棋士と対戦ができなくなるわけではないが、女流棋士の場合、棋士が目指す全てのタイトル戦に参加できるわけではなく、女流タイトルを持っているなどの条件がある。

 福崎は「最近、新四段の力は上がっており、A級棋士との力の差は縮まっていると思う。里見さんは大きな壁に跳ね返されたが、彼女が次々と女流タイトルを失うとは思えない。これを糧にまだまだ飛躍してほしい」とエールを送っていた。

 会見中、里見がわずかに笑みを見せたのは、故郷・島根県の新聞社「山陰中央新報」の記者に、地元の応援のことを聞かれた時だけだった。悔しかっただろうが、「今の自分の実力だと思うので、また勉強して頑張りたい」と語る里見の前向きな姿を目の前で見て、今後、彼女が棋士編入試験に再挑戦しようがしまいがどうでもいいと思うことができた。素晴らしい挑戦に拍手を送りたい。
(一部、敬称略)

粟野仁雄(あわの・まさお)
ジャーナリスト。1956年、兵庫県生まれ。大阪大学文学部を卒業。2001年まで共同通信記者。著書に「サハリンに残されて」(三一書房)、「警察の犯罪――鹿児島県警・志布志事件」(ワック)、「検察に、殺される」(ベスト新書)、「ルポ 原発難民」(潮出版社)、「アスベスト禍」(集英社新書)など。

デイリー新潮編集部

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