ロシアのウクライナ全土攻撃は「あまりにお粗末」…ミサイルの精度が悪すぎて「ウクライナ大本営発表」にも真実味

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元KGBの立案?

 ロシアにとって最も理想的な「報復」は、東部戦線での反攻だろう。だが、今のロシア軍は、ウクライナ軍の猛攻で退却を余儀なくされている。

 その結果、自国内からミサイル攻撃を行ったと考えられている。CNNの報道によると、ロシアは84発の巡航ミサイルと24機のドローンでウクライナを攻撃したという(註)。

「ロシア国内の保守派の溜飲を下げさせたいのなら、例えば、誘導ミサイルでキエフにある大統領府を破壊すればよかったかもしれません。軍事的な観点なら、西側諸国から供与された兵器が集まる補給基地を爆破すれば、大戦果と宣伝できたでしょう。しかし、そのような攻撃は今に至るまで全く行われていません。こんな無意味な報復作戦がなぜ実行されたのか、首を傾げるレベルです」(同・軍事ジャーナリスト)

 ロシア・ウクライナ戦争では開戦当初から、ロシア軍の作戦は非常に杜撰だと指摘されてきた。

「軍のプロではなく、プーチン大統領の周囲を占める元KGB(ソ連国家保安委員会)関係者が、作戦を立案しているのではないかと言われています。今回の報復も、軍事作戦というより単なるパフォーマンスでしかなく、元KGB関係者が立案した印象を受けます」(同・軍事ジャーナリスト)

多数を迎撃?

 ロシアは一時期、東部戦線で大量の精密誘導ミサイルによる無差別攻撃を行い、ウクライナ軍を苦しめたことがあった。

「あの激戦で、ロシア軍はミサイルを使い果たしたのではないかと言われていました。経済制裁の効果で必要不可欠な電子部品の輸入が困難になっており、精密誘導ミサイルの生産と補充に支障を来しているからです。そうした背景を考えると、今回の報復作戦で本当に精密誘導ミサイルが使われたのか、疑問に感じます。実際、かなり命中精度が低いようなのです」(同・軍事ジャーナリスト)

 一方のウクライナ側は、盛んに「ロシアのミサイルを迎撃した」と発表している。

◆【速報】全土に75発のミサイル攻撃 41発を防空システムで撃墜 ウクライナ国防省(テレ朝news:10月10日)

《ウクライナ国防省によりますと、10日、ウクライナ全土に75発のミサイルが撃ち込まれ、うち41発を防空システムで撃墜したといいます》

◆ウクライナ軍、21発のミサイルを迎撃(朝日新聞デジタル:10月12日)

《11日、ロシア軍が同日ウクライナ全土に対して行った攻撃が、巡航ミサイル約30発のほか、多連装ロケット砲による攻撃25回などにのぼったと発表した。このうち、ウクライナ軍は21発のミサイルを撃ち落とし、11機の無人航空機(ドローン)を破壊したという》

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