Mattにぺこぱ・シュウペイ…なぜ令和のタレントは“ママ自慢”したがるのか?
美しさや仲良しアピールは「自慢」ではなく「感謝」 「親の顔が見たい」と言われるエセ有名人とは一線を画す「特権」とは
翻って令和のタレントは、ママ自慢をすることに抵抗がない。むしろ、仲の良さや母の美しさをアピールすることは良いことであり、自慢というよりは母への感謝を示す行為だと信じているのがうかがえる。だから母親側にも変な遠慮や照れは見えない。Z世代の親子関係は密で、母親と服をシェアする男性もいるというだけに、ママ好きタレントに親しみを覚える若者の方が多いだろう。
今やタレントの好感度は、芸や外見より人柄重視。そんな時代の変化も大きい。SNSで私生活が人目に触れることも増え、変に隠し立てして誤報を出されるより、自らオープンにする方が安心だし好かれるものだ。特に家族に関する情報は一番プライベートな部分だけに、ファンサービスとしても成立する。また女性は何かと整形を疑われるが、自分とそっくりな母親の写真があれば、生まれつき美人だという証明にもなるはずだ。
分別や教養のない若者にあきれた時に使われる、「親の顔が見たい」という言葉。現代では迷惑系YouTuberや、豪勢な生活をひけらかすパパ活インフルエンサーなどに向けられる。裏を返せば、親の顔を無邪気に見せられるタレントたちは、それだけ自分の振る舞いに自信がある人でもあるのだろう。何より、彼らが芸能人である必然性を感じさせる、まぶしいほどの陽のオーラや美貌。それはまさに美人で愛情深い母親という「特権」によって生まれたと、どこかで自覚しているはずだ。だから自慢というより感謝、主役は自分ではなく母だという意識が浸透しているのだろう。
もう、顔だって自由に変えられる世の中だ。一流芸能人とそうでない人を分けるのは、年収や容姿やフォロワー数という変化するものではなく、「実母」という不変のもの。母親から受けた愛や美貌こそが、人気者の地位と存在感をつくる。「母は強し、母に愛されて育った自分はもっと強し」。そんな厳しくも残酷な現実を、ママ自慢するタレントたちは、増え続けるエセ有名人たちに突きつけているのかもしれない。
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