「原監督に辞める気は毛頭ない」 オーナーが原体制を黙認する理由を解説

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「本人に辞める気は毛頭ない」

 折しも、他球団ではロッテの井口資仁監督や阪神・矢野燿大監督らの退任が決まっている。井口監督は球団が続投要請の方針であったにもかかわらず責任を取ったし、矢野監督も自らシーズン前に辞任を口にしたとはいえ、開幕9連敗から巻き返してのAクラス入りでの退任だ。「引き際の美学」を感じさせないこともない。

 しかし、この「若大将」は続投が決定。

「本人に辞める気は毛頭ないみたいですね」

 とはさる読売関係者だ。

 原監督は2002年シーズンに巨人の監督に就任し、2年で退任して以後も、06年から10年間の「2次政権」、19年から現在の「3次政権」と合計16シーズンも監督を務めている。

「3次政権の前の監督は高橋由伸でした。球団は若返りを図り、松井秀喜や、さらにその下の阿部慎之助の世代にバトンをつなごうと考えていたのですが……」

 原氏が読売のドン・渡邉恒雄主筆に意向を伝えたこともあり、再々登板を果たしたのだという。

なぜ絶対的な地位を得た?

「もともと原さんの目標は、長嶋茂雄さんを抜いて、巨人で最長の監督在任期間を達成することでした」

 とは、別の読売関係者。

「もくろみ通り、原さんは期間の長さばかりか、もちろん勝率は下回りますが、川上哲治さんが持つ球団監督最多勝利数まで更新した。おまけに、ナベツネさんの庇護の下にあるわけですから、もうこの世の春ですよ。手下のコーチと飲む際などは、巨人史上最高の監督然として振る舞っているとか」

 編成権も握る全権監督ということもあり、やりたい放題というわけだ。

 もっとも、原氏の上には、オーナーがいる。そこがしっかりグリップできていれば組織に支障はないのだが、

「山口(寿一)オーナー(65)も、逆に原さんに平伏といった感じですからね」

 と前出の関係者が続ける。

「山口さんは社会部出身の頭脳明晰な人で、スキャンダルも嫌う。本来、原さんとは馬が合わないはずですが、球団経営の経験に乏しい。だから、原さん任せで、逆にわからないことがあれば、相談するほどだとか。原さんにとって唯一頭が上がらないナベツネさんは96歳と高齢で、現在、体調を崩している。また本来、後継者は阿部コーチへの一本化が既定路線だったのに、原さんは桑田(真澄)を対抗馬としてコーチ陣に入れるなど、1人に絞らせない手を打った。こうして原体制はますます強化されたのです」

 なるほど、監督というより、あえて派閥の後継者を作らなかった安倍元総理のように、政治家顔負けの手管で今の地位にいるということであろう。

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