コインランドリー「WASH&FOLD」の運営会社が倒産 マスコミに持て囃された女性社長の業界評は
下着の問題
「シンポジウムなどに彼女が登場すると、『わが社は儲かって、儲かって、仕方がない』と言わんばかりの雰囲気でした。『ずいぶん大風呂敷を広げる人だな』とクビをひねる関係者は多かったですね。そうしたら案の定、倒産してしまったというわけです」(同・関係者)
山崎氏は最初からクリーニング業界に関わっていたわけではない。とはいえ、「初歩的な知識すらない」との声もあったようだ。
「WASH & FOLDは下着も洗いますというのが売り文句の一つでした。ところがクリーニング業法で、下着の洗濯は消毒など厳しい取り扱い規則が設けられています。本来であれば、普通のクリーニング店では対応できないはずです。この問題は、過去に国会でも取り上げられました。この時、厚生労働省の担当者は『届け出がない』と答えています。クリーニング業法に定められた届け出も行わずに始めた可能性もあるのです」(同・関係者)
ちなみにWASH & FOLDを紹介する記事でも、大半が下着について言及している。確かに、山崎氏が業界の常識を知らなかったと言われても仕方ないようだ。
◆「下着を他人に見せるのは嫌だ」という人向けに特別な洗濯用ネットを準備している(産経新聞)
◆下着やタオルなどの洗濯を1袋単位で代行する(日経ビジネス)
◆下着やTシャツなどクリーニング店には頼みにくい日用的な衣類の洗濯を代行する会社が登場した(朝日新聞)
コロナ禍の問題
アピッシュの倒産からは、コインランドリー業界の抱える問題点が浮き彫りになるという。
「クリーニング業界は完全な右肩下がりですが、コインランドリー業界は今のところ活況を呈しています。特に人口10万人台の地方都市で立地に恵まれれば、投資に対して充分なリターンが得られる。条件にもよりますが、月に60万円以上の売上があればやっていけます」(同・関係者)
郊外にお住まいの方なら、週末に1週間分の洗濯物を大規模なコインランドリーに持参し、一気に洗って乾燥させるというライフスタイルをご存知だろう。
「東京や大阪といった大都市圏では、乾燥機能の付いた洗濯機を持つ家が主流かもしれません。しかし地方都市では、依然として洗濯機だけという家庭も少なくないのです。雨が長びくと、乾燥機だけを使いに来店するお客さんはかなりの数にのぼります。こうした現状から、少なくとも地方都市では、コインランドリーの需要はまだまだ見込めると考えられています」(同・関係者)
アピッシュの倒産に関し、一部のネットメディアは《コロナ禍で在宅率が高まり、コインランドリーの需要が低下した》との分析を示した記事を配信したが、これは実情とは少し異なるという。
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