令和初の三冠王「村上宗隆」対策には「命懸けの配球」がカギ 「平成の三冠王」を封じた西武黄金期の正捕手・伊東勤氏が明かす攻略法

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「情報戦」も駆使

 さらに、担当記者の取材には、レギュラーシーズンで打たれていたとしても、松中には内角攻めすることを繰り返し強調した。当然、松中は新聞などを通じ、そのことを知る。戦う前から過剰に内角攻めを意識させる狙いがあった。

 報道で西武の投手陣にも、私の強い気持ちが伝わった。レギュラーシーズンとは違った厳しい内角攻めが、特に早い段階に松中にできた。その後は、さほど内角を突かなくても、抑えられるようになった。松中がいつ内角に来るのか疑心暗鬼になっていたからだ。メディアを利用した作戦はまんまと的中したのだった。

 この第2ステージで松中は19打数2安打で、ほとんど仕事をさせなかった。これがステージ突破につながり、日本シリーズ制覇にまで至ったと思っている。

 村上もただ内角を攻めるだけでは抑えられないだろう。情報戦を含め、あらゆる手段を講じなければならない。55号を放ってからは新記録へのプレッシャーからか、なかなかあと1本が出なかった。完全無欠のバッターなどいない。死に物狂いで立ち向かえば必ず、活路は開けるはずだ。

デイリー新潮編集部

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