「初めての彼氏」と「パパ活」がトラウマに… 新婚なのに“出稼ぎ風俗”を続ける29歳女性の告白

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お金を管理してくれる場所じゃないと…

 現在の夫と出会ったのは、そんな生活を続けて5年近くたってからのことだった。「なんとなく彼氏がほしくて」登録したアプリでマッチングした。交際半年のスピード入籍だったという。夫の転職に伴い今の場所へ引っ越しを余儀なくされたが、別の支店に異動して昼の仕事は続けられたそうだ。

 結婚後も数回ほどパパ活は続けた。しかし失敗ばかり。そこで麗子はひとつの結論に至る。

「『カニ食べて1000円』男もそうなんですが、私、男の人とお金の交渉がするのが下手で。お金を貰えなく“タダ乗り”されることも少なくないので、お店に所属して、お金を管理してくれる場所じゃないと私はダメなんだな、って思ったんです。でも地元じゃ身バレが怖いからできない。これまでちょくちょく上京してパパ活をしてきたし、いっそ東京のお店で働こうと思ったんです」

 まずはソフトなサービスからと、エステ店に勤めるも、指名がかからないうえに単価も安かったので、数回だけ出勤してやめた。今度はSNSで知り合ったスカウトに紹介され、現在の風俗店に勤めるようになった。

 麗子の一連の行動を分析すれば、「元カレに酷い目にあわされたぶん、男性への復讐のような形で経験を重ねた」とか「トラウマになった出来事を『大したことない』と思い込むための自傷行為のようなもの」といった形になるだろう。風俗勤めを始めたのは「結婚はしたが普通の女性とは違う自分」を満たす承認欲求だろうか。どれも正解な気もするし、どれもそれだけはないように感じる。人の心はそこまで簡単に理解できるものではない。

 ただひとついえるのは、麗子の今の暮らしがかなり危ういバランスの上に成り立っているという点だ。

 インタビューではあえて突っ込まなかったが、さすがに夫は薄々気付いているのではないか。そうでなくても休日に家にいないパートナーとの結婚生活が、はたしてどれだけ継続できるのか。出稼ぎの電車に使っている「社割」パスというのも、会社が履歴を把握できるシステムらしい。不自然な上京が続けば会社にバレるのではないのか。そして風俗店に勤めているのに、

「ピルは飲んでいませんね」

 という浅はかさ……。

 はじめのうち、不運な女性の“転落”のような印象を持って話を聞いていたが、脇の甘さというか、麗子自身の振る舞いにも、不幸を呼び寄せる原因があるのではないか。そんな気がしてきている。

酒井あゆみ(さかい・あゆみ)
福島県生まれ。上京後、18歳で夜の世界に入り、様々な業種を経験。23歳で引退し、作家に。近著に『東京女子サバイバル・ライフ 大不況を生き延びる女たち』ほか、主な著作に『売る男、買う女』『東電OL禁断の25時』など。Twitter: @muchiuna

デイリー新潮編集部

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