健康長寿のカギは「選択」にあり 「生活習慣改善法」と医療の新常識「SDM」を専門家が解説

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 人生100年時代、せっかく長寿を全(まっと)うするのであれば亡くなる間際まで元気でいたい。そのためには、生活習慣の「良き選択」の積み重ねこそが大事になってくる。そして、多様性の時代における医療の新常識「SDM」とは――。専門家が健康長寿のカギを明かす。【浅野 拓/聖路加国際病院・心血管センター循環器内科医師】

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「血糖値が上がってきています。食事と運動習慣を見直してください。次回、値がよくなってなかったらお薬を始めましょう」

 医師が患者さんにこんなアドバイスをする。よくある光景です。ごく普通のことに思われるでしょう。しかし、人生100年時代を迎えた今、これだけでは医療のあり方として不十分なのではないかと私は考えています。

「見直してください」

 確かに、医師は患者さんに生活改善を促していますが、そう言われた患者さんは、事実上「分かりました」と言う以外にありません。

男性のがんの50%は生活習慣病が関与

 ここで改めて考えてみる必要があると思うのです。患者さんにとってより大事なのは、「見直す」こと以上に「どう見直すか」なのではないでしょうか。つまり医師は、見直しの具体的な内容、ひいては薬での治療によるメリット・デメリットをしっかりと示した上で、患者さん納得のもとで治療を「選択」してもらう。これこそが、現代を生き抜く上での医療のあり方だと考えています。

 なぜなら、日本人の「平均寿命」が延びている一方、「健康寿命」は必ずしも同じようには延びていません。さまざまな原因が考えられますが、そのひとつとして、例えば全身に影響を与える血管の健康に問題があると言うことはできるでしょう。これを解決するためには、血管を不健康にする動脈硬化を引き起こす生活習慣病をいかに遠ざけられるかが重要です。

 また脳梗塞も、糖尿病や高血圧を始めとする生活習慣病の延長線上で罹患することが少なくなく、認知症も同様です。「年を取ったんだから仕方がないね」などと片付けられがちですが、アルツハイマー病に関しては原因(因子)のひとつが糖尿病であることは近年の研究で分かってきています。日本の死因第1位の「がん」でさえ、男性では50%がタバコや食事などの生活習慣が関与していると考えられています。

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