津山・9歳女児殺害事件 無期懲役判決の決め手は、勝田被告が「『TVのチカラ』を観て創作」と語った「自白」の迫真性

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「自白の信用性に関する判断は変わらない」

 他の“自白”についても「TVのチカラ」では再現し得ない“独自のストーリー”が見受けられた。

「家を訪ねて玄関に出てきたAさんに時間を尋ねたところ、Aさんが玄関から見て右側の部屋に入っていった。ついて行くと、Aさんが時間を教えてくれた」

「当日は津山市のショッピングセンター駐車場に車を停め、防犯カメラがあるかもしれないと思い非常階段で1階に降りた。小学校へ行きターゲットを物色し、Aさんを発見し、好みの女児だったのでターゲットにした。Aさんに気づかれないよう距離を空けて徒歩で追跡した」

 これらの詳細な“自白”の一部は、勝田被告の前科の犯行態様と合致する。前刑の殺人未遂罪でも、勝田被告は事件前にショッピングセンターの駐車場に車を停め、そこから自転車で女子中学生を物色しているのだ。

 一審では、「女の子の苦しむ顔を見たいと考え、お腹を殴る機会をうかがいつつ被害者の後をつけ、身体を触るなどのわいせつな行為をしたいとの欲望を満たすために被害者の首を絞め、抵抗されたとの理由から被害者を刃物で刺して殺害した」と認定されている。同様に無罪を主張した控訴審でも、彼の「自白は(自分が創作した)ストーリー」だったとの訴えは認められていない。そして、高裁は「被告の自白の信用性に関する判断は変わらない」と控訴を退けたのである。

高橋ユキ(たかはし・ゆき)
ノンフィクションライター。福岡県出身。2006年『霞っ子クラブ 娘たちの裁判傍聴記』でデビュー。裁判傍聴を中心に事件記事を執筆。著書に『木嶋佳苗 危険な愛の奥義』『木嶋佳苗劇場』(共著)、『つけびの村 噂が5人を殺したのか?』、『逃げるが勝ち 脱走犯たちの告白』など。

デイリー新潮編集部

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