地元警察が365日24時間体制で監視した筑波大留学生の“危ない素性” 元公安警察官の証言
24時間行確
管轄の担当者は、事件が時効になったことをひどく悔やんでいた。
「担当課は、留学生が日本で事件を起こさないように、なんと24時間体制で行動確認することにしたのです。警察では、行動確認を“行確”と呼んでいますが、警視庁だったら留学生に対しいくらなんでもそこまではしません。24時間ずっと監視するのは大変なことなんです」
担当課は、留学生を2人体制で監視した。つくば市でアパートを借りていた留学生は、市内にあるムスリム(イスラム教徒)の集会場に頻繁に足を運んでいたという。
「1日に6人の捜査員を派遣して、3交代制で監視したようです。留学生は休暇で本国へ帰国する時もありましたが、帰国中は誰に会ったのか、現地の警察に調べさせたそうです」
留学生は2、3カ月に1度の割合で、都内のモスクにも行っていた。
「そこには、中古車を解体するヤード(作業場)を運営しているパキスタン人が多く集まっていました。なかには、盗難車を扱っている者もいて、要注意のモスクでした」
モスクに出入りしているパキスタン人は、時々米国大使館前で抗議デモを行っていた。
「2001年から始まったアフガニスタン紛争で、アメリカなどの多国籍軍と交戦しているのはアルカイダやIMUです。アメリカがアフガニスタンを空爆するたびに、米国大使館前で350人ほど集まって抗議デモを行っていました。その度に機動隊や赤坂警察署の警察官が出動しました」
モスクは金曜日の午後に礼拝があり、その後、パキスタン人たちは喫茶店などでアメリカ批判を行っていたという。
「件の留学生も一緒に喫茶店に行き、英語で会話をしていたといいます。勿論、担当課の捜査員も客のふりをして入り、彼らの会話を傍聴しています。録音もしたそうです。あるパキスタン人が『アメリカのアフガニスタン侵攻は絶対に許せない』と言うと、留学生は『聖なる地域を汚す行為だ』と言うので、いよいよ何か行動を起こすのかと思って、かなり警戒したそうです」
留学生は3年間日本に滞在したという。
「幸い、留学生は何も事件を起こさないまま帰国しました。監視を担当する捜査員は、数が限られているので、顔を覚えられた可能性が高い。警察が監視していることに気づいていたのではないでしょうか。それもあって、何もできなかったのかもしれません」
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