「家、ついて行ってイイですか?」が日曜夜に引っ越し 完成度の高いVTRを作る苦労を担当者に聞いた

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素人を取材する難しさ

小比類巻:スペシャル回では(視聴率が)オール4%を超え、視聴者からの問い合わせも多数届くなど、水曜の夜に定着していただけに惜しい思いはあります。

 現場には残念がる声もあるようだ。ならば、あえて日曜ゴールデンに引っ越す目的は何だろうか。この質問には総合編成局編成部が回答した。

編成部:激戦区ではありますが、水曜日の前はもともと土曜日で放送していた番組ということもあり、週末の夜に、苦しんだり悩んだりしながらも前を向いて生きている市井の人たちの人生の機微に触れることで、ホッコリと“あたたかい気分”になってもらい、月曜日からの活力にしていただきたい。そんな新たな定番を作りたいと思っています。

 一般人を相手とする「家ついて」を制作するにあたり、現場はどんなことに苦労しているのだろうか。

小比類巻:取材ディレクターは丸一日声掛けしても、家について行けない日が多々あります。雨の日も、猛暑の日も、極寒の日も……街に出て声を掛け続けるのが一番の苦労です。また、内容の濃い取材ができ、完成度の高いドキュメントVTRができたとしても、取材者から「やはりNGでお願いします」となる場合もあります。そこが素人の方々を取材する難しさだと感じています。

 せっかくいい画が撮れても、NGとはもったいない。しかし、それも含めてドキュメントなのだろう。

最強の敵

 この数年はコロナ禍でロケが不可能となり、放送できなくなった番組も少なくない。取材ができなかったなんてことはなかったのか。

小比類巻:コロナ禍でもリモートのみで取材を完結させたり、過去に放送した方の現在をカメラを渡して撮ってもらったりするなど、その時々で出来うる手法を使って取材を継続していましたので、VTRが枯渇したということはありませんでした。

 工夫してやっていたわけだ。もっとも、水曜時代は「水バラ」の時間延長で放送のない週もあった。日曜枠では毎週放送できるのだろうか。

小比類巻:コロナ対策を徹底しながら、毎日10組ほどの班がロケに出ていますので、制作現場的には可能と考えています。

 毎日10組の班が稼働しているとは恐れ入る。引っ越し先の日曜ゴールデンには強豪がひしめいている。10月2日の視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を見てみると、

●NHK「鎌倉殿の13人」 個人6・9%、世帯11・7%
●日テレ「世界の果てまでイッテQ!」 個人8・4%、世帯12・0%
●テレ朝「ポツンと一軒家」 個人8・9%、世帯15・5%

 この時間帯に「家ついて」が乗り込むというのだ。勝算はあるのだろうか。

小比類巻:正直、最強の敵と戦うのは不安ですが、ブレずにこれまで通り取材者としっかり向き合って番組を作るだけと思っています。

 10月16日、引っ越し初回は3時間スペシャルだ。スタッフの苦労も想像しながら見てみると、別の面白さが生まれるかも。健闘を祈る。

デイリー新潮編集部

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