ロシア兵は戦場から自転車でトンズラ…じつはロシアがウクライナの最大の武器支援国という真実

国際

  • ブックマーク

自転車で逃走

 つまりウクライナ軍は、陸上自衛隊の2師団分に匹敵する戦車を手に入れたことになるわけだ。

 これほどの“援軍”を手に入れた理由の一つとして、最前線のロシア兵が脱走に近い形で、何もかも放棄して逃げたことが挙げられるようだ。

「ウクライナの英字新聞キエフ・インディペンデントやアメリカのワシントンポストは、ハリコフ州でウクライナ軍が奪回した地域に記者を送り、住民を取材しました。記事(註1・2)によると、ウクライナ軍が近づくとロシア兵は慌てて逃げていったそうです。ほとんどの兵士は、武器も弾薬も放棄し、そのうちの半分が車両に乗って立ち去ったと証言しています」(前出の記者)

 なんと兵士の一部は、住民から服と自転車を奪って逃げていったという。

「住民は取材に対し、服と自転車を盗んだロシア兵が『軍服姿をウクライナ軍のドローンに見られたくない』と弁解したことを明かしています。2紙の報道から、ロシア兵は心底、ウクライナ軍の攻撃を恐れており、軍律も崩壊状態にある可能性が浮かび上がります」(同・記者)

鹵獲の歴史

 キエフ・インディペンデントの記事によると、ウクライナ兵がロシア軍の倉庫を調べると大量の武器や弾薬が見つかったという。

「弾薬、ロケット弾、手榴弾、対戦車と対人の地雷などを鹵獲したそうです。記事には、ウクライナ兵が『レンドリース』と冗談を言ったと書かれていました。これはアメリカ議会で可決された『武器貸与法』のことで、ロシア軍がウクライナ軍に武器を供与しているという冗談です。実際、米軍を超える最大の武器提供国は、ロシアかもしれないのです」(同・記者)

 鹵獲の歴史は、戦争の歴史とイコールだと言える。古今東西の戦場で、敵軍の兵器を利活用する姿は一般的なものだ。

 とはいえ、前出の軍事ジャーナリストは「今のロシア軍のような状況は、正直なところ、見たことも聞いたこともありません。前代未聞のケースでしょう」と言う。

「現代の戦争でも鹵獲は珍しくありません。第二次世界大戦ではドイツ軍がチェコ軍の戦車を鹵獲し、自走砲に改造したことが知られています。ベトナム戦争では、1973年にアメリカ軍が撤退した際、大量の武器や弾薬を放棄したため、ベトナム人民軍の戦力が一気にアップしたことがありました」

次ページ:最新型戦車も鹵獲

前へ 1 2 3 4 次へ

[2/4ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。