ロシア兵は戦場から自転車でトンズラ…じつはロシアがウクライナの最大の武器支援国という真実
442両──この数字は、ウクライナ軍が“捕獲”したロシア軍戦車の台数だという。軍事用語では「鹵獲(ろかく)」。デジタル大辞泉(小学館)には《敵の軍用品・兵器などを奪い取ること》とある。専門家は「皮肉なことですが、ウクライナ軍にとっては非常に貴重な“援軍”です」と指摘する。
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オランダの軍事情報サイト「Oryx」は、SNSなどに公開された画像や動画から、ロシア軍とウクライナ軍の損害を計算して発表している。
10月5日現在、ロシア軍の戦車1280両のうち、734両が破壊、50両が損傷、54両が放置──そして、ウクライナ軍に鹵獲されたものは442両だとしている。担当記者が言う。
「Oryxは厳密なルールを作成しており、写真や動画で鹵獲が確認されたものしかカウントしていません。そのため、実際に鹵獲された戦車は、442両より多い可能性もあります」
ロシア軍から鹵獲した戦車を、ウクライナ軍が最前線に投入しているのを目撃したメディアもある。
AP通信(電子・日本語版)は10月4日、「ウクライナ軍が戦線を維持 ドンバス地域で砲撃を激化」の記事を配信した。該当部分を引用しよう。
《ウクライナ軍は東部ドンバス地域で戦線を維持、戦車部隊がドネツク州のバフムートでロシア軍に対する砲撃を激化させている。(中略)砲撃を担っているのはソ連製のT-64戦車と、ロシア軍から鹵獲したT-80戦車だ》
ある軍事ジャーナリストは「ウクライナは東西冷戦の時代から、東欧圏屈指の軍需工場コンビナートを整備してきた歴史を持ちます」と言う。
最高の“即戦力”
「AP通信の記事で言及されたT-64やT-80は、ウクライナ軍に配備されただけでなく、自分たちで製造もしていました。鹵獲した戦車の中に、ウクライナの軍需工場で作られたものが含まれていても全く不思議ではありません。つまりウクライナ軍は、鹵獲した戦車の操作も整備も、その方法を熟知しているのです」
今でも軍需産業が盛んなウクライナだが、さすがに西側諸国が供与する最新兵器を扱うためには、兵士が研修を受ける必要がある。
例えば、高機動ロケット砲システム「HIMARS」の場合、ウクライナ兵は隣国のポーランドで操作方法を習得した。
一方、無傷のT-64やT-80を鹵獲した場合、理論的にはその瞬間からウクライナ軍の戦車として使うことが可能だ。
「これほどの“即戦力”は、そうはないでしょう。一部報道によると、ウクライナ軍は戦車に書かれていた『Z』の字を消し、前面の一部にウクライナ国旗に使われている青と黄をペンキで塗って投入しているそうです」(同・軍事ジャーナリスト)
陸上自衛隊の場合、北海道の第7師団が運用している戦車は約200両だ。これをウクライナ軍が鹵獲したとされる442両に当てはめると、2・21という数字が導き出される。
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