統一教会問題が「時事通信」に飛び火 現役記者の不評を買った“社長ブログ”の中身とは
安倍晋三元総理の銃撃事件に端を発した統一教会問題は、いまだ収束の気配を見せない。新聞やテレビといった大手メディアによる取材合戦も過熱の一途を辿っている。そうしたなか、旧統一教会の友好団体である「世界日報」への記事配信を巡って、揺れに揺れているのが時事通信社だ。社内から異論反論が飛び出す一方、同社の境克彦社長(63)が書いたブログの内容が新たな騒動を巻き起こしていた。
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時事通信の現役社員が嘆息交じりに打ち明ける。
「時事通信と旧統一教会の関係が指摘されるようになったのは、社民党の福島瑞穂党首のインタビュー記事が原因です」
それは、2006年元旦の「世界日報」に掲載された〈参院選をどう戦う〉という党首インタビューだった。
「政権与党幹部と旧統一教会の関係を追及している福島さん自身に、旧統一教会との繋がりがあったとすれば“特大ブーメラン”となります。そのため、リベラル色の強い福島さんのインタビュー記事が旧統一教会の友好団体である『世界日報』に掲載されていたことは、ネット上で大きな話題を呼びました」(ウェブニュース編集者)
これに反応したのは福島党首ご本人だ。8月26日に更新した自身のTwitter上で〈世界日報に福島みずほのインタビュー記事が掲載されているという指摘がありましたが、これは時事通信が配信したものが掲載されたものです。世界日報のインタビューは受けていません〉と明かしたのだ。すると、ネット民たちの批判の矛先は時事通信に向けられることに。先のウェブニュース編集者が批判の中身を解説する。
「旧統一教会と自民党との関係を追及するメディアが、一方で、その友好団体である世界日報社からお金を貰って記事を配信していたことが、ネット上では“マスゴミ行為”と捉えられたのです」
現場の記者は戦々恐々
こうした批判に、敏感に反応したのが時事通信の若手記者たちだという。
「とりわけ戦々恐々としているのは、政治部や経済部で日々、政治家や財界人への取材を担当している現場の記者たちです。自分の会社が『世界日報』に記事を配信していることを理由に取材を断られるのではないか、と。また、8月末に行われた、本社以外の関東近郊県に勤務する記者と編集幹部が話し合う関東ブロック編集会議でも、『世界日報』への記事配信について質す声が上がりました」(前出・時事通信社員)
こうした状況を受けて、9月6日に社内向けサイトで配信されたのが、時事通信社・境社長の「社長ブログ」だった。境氏はそこで、ネット上に拡散された批判を一蹴している。
〈SNSでは、時事通信が世界日報に記事や写真を配信していることを問題視し、「ズブズブの関係」などと無責任にはやし立てる不届き者も現れました。そうした妄言を真に受け、無邪気に、あるいは正義面して拡散する、メディアリテラシーのかけらもない人たちの何と多いことか。便所の落書きのような書き込みを相手にしているヒマはありません〉
あくまでも社内向けの発信とはいえ、ネット全盛のご時世に、通信社のトップがSNSへの書き込みを〈便所の落書き〉と一刀両断するとは、なかなか思い切った姿勢である。
さらに、〈通信社であるわが社の使命は、独立した中立的な立場から、ユーザーが必要とする情報を迅速に伝えること〉であり、同社の記事が〈世界日報とは真逆の論陣を張る日本共産党の「しんぶん赤旗」にも使われているのは、その証左です〉と続く。
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