「学生の自分にも徴兵令状」「出国がうまくいくか…」 市民の戦争動員、ロシア国民の本音を調査

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「今後数十年はつらい時代になる」

 だから、「ロシア人としての将来への展望」を尋ねても、プーチン政権のプロパガンダに毒されたモスクワ在住の女性(35)が、

「勝利がわれわれを待っている。人々と世界はますます調和に包まれるだろう」

 と答えるのを除けば、多くは冷静だ。ブルガリア在住の男性(33)が、

「つらい激動の時代が待っているだろう。ロシアとウクライナの戦争が終わったあと、ロシア国内に内戦が起きないことを願う。ロシアが国際社会に戻れるときまでは長生きしたい」

 と答えるのは、国外から客観的に眺めているので、さほど驚かないとしても、

「ロシアには明るい未来が訪れてほしいが、そのためには政権を変えなければならず、それには一世代だけの努力では足りない」(在ロシアの男性、33歳)

「ロシアは奈落の底に向かっており、この戦争が終わっても決して楽にならないだろう」(モスクワ在住の男性、36歳)

「今後数十年はつらい時代になるだろう。ロシアは国際政治における信頼を失い、経済を崩壊させた。回復するには何十年もかかる」(モスクワ在住の男性、25歳)

 ロシア国内に残る人たちも、独裁者の盲点を見事に突くのである。

「他人を殺さない」という淡い期待に…

 だが言うは易いが、いまロシア人に迫るのは、問答無用で戦場に送られるという厳しい現実だ。前出の映像制作に携わるモスクワの男性は、「召集されたら徴兵事務所に出頭する」そうだが、その理由は、

「令状が届いた時点で選択肢は三つしかないが、外国に逃亡しても低賃金で過酷な労働を強いられる。刑務所に入れば死なずにすむが、囚人同士のいじめがきついと聞くし、前科があると再就職が難しい。残りは大人しく出頭すること。私は軍隊手帳に“エンジニア”と記されているから、通信機器の整備などに携わり、他人を殺す場所には行かないのではないか、という淡い期待に賭けたい」

 いわば「究極の選択」である。彼らに平穏が訪れるのか否か。それは、この男性が「クソ」と呼んで軽蔑するプーチン大統領の一存にかかっている。

週刊新潮 2022年10月6日号掲載

特集「一般市民の戦争動員で大パニック 『学生の自分にも徴兵令状が…』『独裁者に命を捧げたくない』 ロシア国民30人に聞いた『プーチン』への本音」より

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