松竹芸人を公然と批判… お笑い界のガーシー「みなみかわ」の綱渡り芸が注目される理由
事務所を挑発
くすぶり続けたみなみかわは、やけくそになって所属事務所の松竹芸能に公然と批判の矛先を向けるようになった。松竹芸能から続々と芸人が流出することをネタにして、「もう二度と松竹を辞める人間を出さないでおこうTV」という企画を自身のYouTubeチャンネルで行い、事務所から目をつけられたこともあった。その後も、事務所が主催する学生芸人ライブの賞金額が少なすぎることを批判するなど、挑発的な言動を繰り返している。
そんな彼を見るに見かねて動き出したのが、一般人である彼の妻だ。みなみかわの才能を信じていた彼女は「もう事務所に任せてはおけない。自分が夫を売り込む」と決意して、SNSアカウントを開設し、千原ジュニア、東野幸治、佐久間宣行など、影響力のある先輩芸人やテレビマンに直接DMを送ってみなみかわを売り込んだ。これは紛れもない「闇営業」なのだが、むしろそこが面白がられて、みなみかわは彼らのYouTubeに出演することになった。
それと並行して、みなみかわの腐り切った居直り芸がバラエティでも注目されるようになり、「ゴッドタン」「さんまのお笑い向上委員会」「水曜日のダウンタウン」などに出演した。
みなみかわはバラエティ番組でも松竹芸能を批判し、先輩芸人を叩く。触るものすべてを傷つける勢いで容赦なく毒を吐きまくる。しかし、そこに技術があるので笑いが起こる。常にギリギリを攻めるその姿勢には、地雷原を全力疾走で駆け抜けていくような爽快感がある。事務所批判を口にする裏には、悪いところは悪いとはっきり言うことで膿を出し、事務所を良くしていきたいという前向きな思いがあるのではないか。
ガーシーと同じ
みなみかわは、事務所とは緊張関係にあることをほのめかしているが、皮肉にもこの芸風を貫くことで結果的に彼の仕事は増えている。この状況では彼の口をふさぐのも難しそうだ。
私怨を募らせて、大義を掲げ、業界を内部から撹乱していく。みなみかわのこの感じはどこかで見覚えがあると思っていたら、やっていることはガーシー（東谷義和）と同じだった。ガーシーは芸能界を震撼させる暴露系YouTuberであり、現役の参議院議員でもある。良くも悪くもいま世間の注目を集める存在だ。
みなみかわも事務所や芸人を対象にした数々の暴露や悪口で話題を振りまいている。彼の存在を苦々しく思っている人も多いかもしれないが、影響力が大きくなった今では簡単に潰すことはできない。単なる毒舌キャラとも一味違う、絶妙なセンスが要求される「お笑い界のガーシー」みなみかわの綱渡り芸にこれからも注目したい。
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