ノブコブ徳井が「嫉妬するほど面白い」と語る芸人6組は?〈キングオブコント2022決勝進出コンビも〉

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センスがズバ抜けている「スクールゾーン」

 渋谷のヨシモト∞ホールにはまだまだ有望な若手がたくさんいる。

「バビロン」とは真逆、なのかどうか分からないが、「スクールゾーン」というコンビがいる。二人とも穏やかで静かで、センスがとにかくズバ抜けている。

 芸人で「スクールゾーンを面白くない」なんて言うのは、僕からしたら、それはあんたが面白くないんだよ、って言い切れるくらいに、センスが良いコンビだ。

 彼らのネタは斬新な切り口で、特にその始まり方と終わり方は独特だ。見終わった後、夏の終わりのような物憂げな気持ちが脳を支配する。

 ただ、雰囲気がとても柔らかい分、もしバビロンみたいな獰猛な野犬と同じ舞台に立った場合、どっちがお客さんの記憶により残るかと言われたら、それは少し厳しいかもしれない。
 
 無論、彼らも賞レースに挑戦し続けている。

 今や賞レースの決勝に残るには、それこそ意味や意図のあるネタが必要になってきていて、ただ「面白い」だけではなかなか難しくなってきている。勢いや運が必要で、新しさも必要で、それでいて嫌悪感を抱かれない「純粋な笑い」も必要。

 だから静かな青の炎を燃やす「スクールゾーン」が賞レースで結果を出すのは、とても大変なことだと思う。

 けれど「面白い」は必ず報われる、はずだ。

 僕は23年間の芸歴のなかで、そんな瞬間を何度も見てきた。

 面白い人が努力をし続けて、結果が出なかったことなんてない。

 これだけは僕が信じている唯一うそのない、事実。

 だから僕はやっぱり「スクールゾーン」を推さずにはいられない。

 それに、そもそも「賞レースの決勝に出れば売れる」というのは、僕らがM-1に出ていた10年前くらいの話だ。多分、M-1の出場資格が、芸歴10年から15年に延びた時くらいから、賞レースファイナリストが飽和していったんだと思う。

誰にも思いつかないことをやり続ける「ななまがり」

 声の大きい初瀬と超個性的な森下のコンビ「ななまがり」。

 毎年のようにキングオブコントでは準決勝へ駒を進め、2016年には遂に決勝にまで進出した。「水曜日のダウンタウン」では新元号が発表されるタイミングで軟禁され、自力で「令和」を当てるまで帰れない、という超話題作であり、超問題作にも出演した。

 けれど分かりやく「売れる」という結果はなかなかどうして出ない。

 このコンビも、芸人ならば面白いと思わない者はいない、独創的な二人だ。「いろはに千鳥」に僕がゲスト出演した時に見た「架空親、おまあさんだよ」というショートネタが、未だに前頭葉にこびり付いて剥がれない。詳しい説明はしないが、というよりできないと言った方がいいのだが、「ななまがり」の架空シリーズネタは秀逸で、その数も多いから驚きだ。

 本ネタにもなった、架空下ネタ「ギンモ」や、森下が演じる「架空芸能人」など、架空の種類も多岐にわたる。

 あるあるネタのような、誰にでも分かりやすいものかと問われればそうではない。SNSで話題になって若い世代にも受け入れてもらう、というのも少し難しいのかもしれない。

 でもやはり、唯一無二の発想で溢れているのが「ななまがり」なのだ。奇妙奇天烈、としか言いようのない、理由も分からない、意味も分からない、誰にも思い付きもしない。これが、芸だと僕は思う。

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