ノブコブ徳井が「嫉妬するほど面白い」と語る芸人6組は?〈キングオブコント2022決勝進出コンビも〉

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「お笑いを解剖する」のは愚の骨頂だと分かってはいるが…

 今年2月、デイリー新潮での連載「逆転満塁バラエティ」をまとめたエッセイ集『敗北からの芸人論』を上梓した平成ノブシコブシ徳井健太さん。連載ラストとなる今回のテーマは「お笑いを面白く見る方法」について。「お笑いを解剖するのは愚の骨頂」とまで言い切る徳井さんが、思わず解剖したくなった芸人6組とは?

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 僕が21組の芸人さんを考察した『敗北からの芸人論』の刊行から半年ちょっとが過ぎた。ありがたいことに増刷を繰り返し、特別版として「麒麟」さんと「相席スタート」についても書かせてもらった。

 さらにもう一編、一旦ラストになる今回は新潮社さんから「こうするとお笑いがもっと面白く見られるよ」というテーマでどうですか?とお題を頂戴した。

 とても難解だ。

 まず、僕が言うのもなんだが一応言っておきたいのは、「お笑いを解剖する」なんてのは愚の骨頂だ。

 映画や小説、音楽や舞台といったカルチャーも、本来なら、理由とか分析とか、細やかにひもとかない方がいい。「あー、最高だったなー」それで充分だ。

 ただしそれは自分一人でなら、に限られる。

 自分以外の他人と、その作品の素晴らしさ面白さを共有する場合には、当然だが、何かしらの「理由」が必要になってくる。

 そして、愛するが故に、その素晴らしさを伝えたくなるのが人間だ。無粋だとはわかりつつも、好きだからこそ「理由」を知りたくなる。それも自然の摂理だと思う。

 どうして感動するのか、もっと言えばなぜ涙が出るのか、その理由を知りたい。知って誰かと共有、共感したくなる。僕がお笑いを考察するのもそれと同じで、至極当たり前なことだとまずは自分を正当化したい。

既存の尺度では測れないトリオ「バビロン」

「バビロン」というトリオがいる。

「おーちゃん」「ノリ」「千葉ストロガノフ」から成るトリオ芸人だ。気になった方はネットで調べてみてほしい。もっと知りたくなったなら劇場へ行ってみてほしい。そこで思うだろう、「なんじゃこりゃ」って。

「疾風怒濤」という言葉は彼らのためにあるかのような、まるでマクラーレン720Sスパイダーのような、ものすごく勢いのある漫才。ハイスピードなネタが見るものの頭と目と耳を刺激しながら駆け巡る。意味なんて、分からなくていい。

 もちろん彼らも賞レースでの優勝や決勝進出を目指している。だが、そういった「既存の何か」でバビロンを測るのは、間違っているような気がしてならない。

 語彙力なく伝えれば、とにかくバビロンは超面白い、のだ。

 理由なんていらない、分からない。僕は彼らのネタを見る度に、窒息するくらいに笑う。千葉のツッコミは全て間違っている気がするし、ノリのマイクの使い方も荒いし、おーちゃんのトリッキーなボケ方は、どこに目線を持っていけばいいか分からない。

 そんな僕のような二流三流の、見ている側からの勝手なダメ出しならいくらでもできる。

 でも、超一流に笑えるのだ。だから、僕はバビロンが大好きだ。

 三人とも、イケメンって感じでもなければ、清潔感がある感じでもなく、SNSでバズる、みたいな雰囲気もない。そうなると、今の時代に合っていないんじゃないか、令和の現代にアジャストした方がいいんではないか?

 そんな意見も分かる。

 ただ、バビロンみたいな時代を超越して笑える芸人が売れない世の中なんて、つまらない。理屈や理由を飛び越えた面白さをちゃんと感じる日本国民がいると、僕は信じたい。

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