これが本当の「ドラフト隠し玉」…四国に151キロを投げる軟式野球の投手がいた! 大学時代は「巨人大勢」のチームメイト

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「レベルの違うところに来てしまった」

 香川県三豊市にある「四国明治乳業」。よほどアマチュア野球に詳しくても、この社会人チームを知っている人はなかなかいないのではないだろうか。それも当然で、同社には、硬式野球部ではなく、2002年に創部された軟式野球部がある。そんなチームに密かにプロが注目している投手がいるという。それがこの春に入部した赤尾侑哉だ。【西尾典文/野球ライター】

 高校時代は坂出商(香川)でエースだったものの、目立った成績を残すことはできず、3年夏の香川大会は初戦で敗れた。卒業後は関西国際大学へ進学。3年秋にリーグ戦デビューを果たし、4年春にリリーフで4試合に登板したが、主戦投手に定着できなかった。ちなみに、今年ルーキーながら巨人の抑えとして大活躍した大勢(本名・翁田大勢)は大学の同期にあたる。

「高校時代は全然勝てなくて、3年夏はそれなりにいいピッチングはできましたが、ストレートは130キロ台前半だったと思います。大学は同じ高校から進んでいる先輩もいて、ピッチャーの指導がしっかりしているということを聞いて、関西国際大に決めました。自分が入った時も1つ上の武次さん(武次春哉・現日本生命)や、先輩にいいピッチャーがいっぱいいて、全然レベルの違うところに来てしまったなと思いましたね。翁田(大勢)も高校の時からプロ志望届を出していて、指名がなくてうちの大学に決まったので入寮が少し遅かったんですけど、いきなり147キロくらい投げていました」(赤尾)

 関西国際大は、赤尾が入学した年の秋、武次の活躍もあって、リーグ戦で優勝を果たし、明治神宮大会に出場している。しかし、当然赤尾はメンバーには入っていなかった。下級生の頃は、なかなかチーム内でも結果を残すことができず、ようやく浮上のきっかけをつかんだのは3年生になってからだ。

球速が一気にアップ

「高校の時は、とにかく上半身の力で腕だけで投げようとしていたと思います。大学でコーチからしっかり軸足で立って、踏み出した足も強く着地して、体幹も使って投げるようにということをずっと言われていました。ランニングやトレーニングした成果もあって、ようやくそのイメージで投げられるようになったのが3年生になってから。春に140キロを超えるくらいスピードも出るようになりました。大学時代の最速は145キロくらいだったと思います。ただ3年春は新型コロナでリーグ戦が中止になって、その後もリリーフでは投げさせてもらったんですけど、最後のシーズンは翁田(大勢)がフル回転したこともあってほとんど出番はありませんでした。社会人の練習にも参加させてもらいましたが、実績がなかったので、硬式の強豪と言われるチームに行くことはできず、地元で軟式チームがある今の会社に決めました」(同)

 昔と比べて、硬式野球部がある企業は減っており、また社会人野球で最大の大会である都市対抗は一発勝負のトーナメントということもあって、大学卒の選手はより安定感や実績が求められる傾向が強くなっている。

 赤尾の「最速145キロ」という数字は、最近の大学生のなかでは、社会人の強豪チームに入れるような、大きなアドバンテージではなかった。こうして地元の香川に戻り、軟式チームである四国明治乳業でプレーすることになった赤尾だが、チームに入って早々ストレートが151キロをマークしたという。

 表面がゴムでできており、硬式球に比べると、スピードが出づらいと言われている軟式球で、これだけの数字をたたき出す投手はなかなかいるものではない。果たして、この短期間の間に何があったのか。

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