「ソフトバンク」現役社員がTKO木本をハメた社長とグルになって“投資詐欺”をしていた 会社は取材後「警察に通報した」と回答
山積みの“ゲンナマ”
「そもそも、この時点においてはXのこともまったく疑っていなかった。ポンジスキームの典型的パターンなのですが、最初にFX投資として100万円を預けたら、1カ月で117万円になったとポンと返してきた。次の500万円は550万円に。Xの自宅で山積みになった何千万の“ゲンナマ”を見せられたこともある。住まいは入居審査が厳しい港区の超高級マンションで、奥さんまで紹介される。優雅な空間で2匹のトイプードルと戯れるXの姿を見ていると、まさか詐欺をするわけないだろうと思ってしまうのです。完全に罠にはめられていました」
その後、元金の返済を求めてもXは「ウクライナ情勢が……」などといって逃げるようになった。やがて、木本の件がニュースになると完全に連絡が途絶えた。3月頃、 AさんはXと一時的に音信不通になった際に、B部長に一度電話を入れたが、「私は連絡を取れていますよ」と平然と答えていたという。
だが、それからAさんはB部長やC課長に直接連絡を取ることはなかった。金を直接預けた相手はXであり、二人ではなかったからだ。今年の5月頃、別の人物も自分と同じソフトバンク案件で被害に遭っているという話を耳にし、騙されたと気づいたという。だが、「ソフトバンク社内で問題になったという話も耳にしないので、会社が気づいていない可能性もある」とも話す。
一方で、被害相談をしている警視庁に対してはソフトバンクの件も含めて話をしているが、「この件は事件になりづらい」と刑事から言われたという。
「Aさん? 存じ上げないですね」
はたしてB部長たちはこのまま逃げ切ろうと考えているのか。10月3日夕刻、B部長の携帯に電話するとあっさり本人が出た。
――X氏の投資トラブルについて取材している中、Aさんからあなたの話が出てきた。Aさんのことは知っていますよね。
「Aさん? 存じ上げないですね」
――AさんはXと一緒に昨年12月にあなたの会社を訪ね、12億円の出資話について勧誘を受けたと取材に答えている。Aさんに投資案件を勧誘した事実はないか。
「私はAさんという方を知りませんので、そのへんに関してはお答えできません」
こう動じることなく答えるのである。
――ソフトバンクシステム受託ビジネススキームという資料を作成したのはあなたではないのか。
「そのへんもちょっとわかりませんので、ノーコメントで控えさせていただきます」
記者が丁寧にAさんの氏名を字解きまでして説明しても、「知りませんねぇ」としらばっくれるB部長。だが、「では、Xのことは知っていますか」と聞くと、徐々に受け答えが怪しくなってきた。
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