独占インタビュー 分断危機の「神社本庁」トップが語った「内紛の真実」

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長期政権の意義

――一方で、すでに総長を4期続けられており、その長さにも批判の声が上がっているが。

田中 もちろん、そうした声が上がっているのは承知しています。ただ、自ら言うのもおこがましいですが、私に続けてほしい、というお声があるのも、事実なのです。正直、私自身も、もう78歳ですし、できることならもう辞めてしまいたいと思う時もありますよ。ただ、今回も、正当な手続きを経て、多くの方の推薦を受けて理事にしていただき、さらに役員会でも総長にとの議決をいただいている。皆さんからのご期待、「神社本庁をなんとかしてほしい」との声もたくさんいただいております。そうした方々の思いも大切にしていきたいと思っています。

――現在、裁判では、総長を決めるためのルール、「役員会の議を経て理事のうちから統理が指名する」の文言の意味を巡る審理が続いている。仮に裁判所が、この文言の意味を、「役員会の決議と統理の意向が一致した時にのみ、新しい総長が選出される」と判断した場合は、統理の意思が変わらない限り、延々と新総長が誕生しないという事態も予想される。このように不安定な状態が続くことについて、どのようにお考えか。

田中 まずは役員会の多数意見に基づいて統理にご指名いただくのが第一だと思っています。これまでも総長はそのように決められてきましたし、議を経てというのは役員会の議決を尊重していただくという意味であるはずです。しかし、それでも統理がご指名されないということであれば、現在の状況(田中氏がなお在任の規定により総長を続ける状態)が続いていくことになってしまいます。全国の神社に迷惑をかけるわけにいきませんから、私は包括宗教法人の代表役員総長として必要な決裁を行い、通常通り業務を進めています。

――不安定な状態ではない、と。

田中 もちろん、正式な形で新しい総長が選ばれることが一番です。ただ、今回の件で、庁規や各規程などの条項には、さまざまな問題や齟齬があることがわかりました。全国約8万の包括下神社は、コロナ禍や氏子の減少などで困難に直面しているところも多く、神社本庁では、これまでの小規模神社への支援策を発展させ、地区単位の協力体制作りを進めています。人々が集い絆を深める大切な場所である各地の神社がこれからも安定的に存続していくために、包括法人としての神社本庁の庁規なども、改めて見直していかなければならない、と考えております。今こそ、我々は神職であるということに、今一度立ち戻っていかなければならないと思います。人々が手を合わせ、祈りを捧げる神様に奉仕する。そのことを我々神職は改めて肝に銘じていかなければ、と思っています。

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