「エルピス」「ファーストペンギン!」「アトムの童」 「秋ドラマ」注目の3作品に意外な共通点

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TBS「日曜劇場 アトムの童」(日曜午後9時、放送開始日未公表)

 脚本は神森万里江さん。これまでに森七菜(21)が主演したTBS「この恋あたためますか」(2020年)などを手掛けた。

 主演は山﨑賢人(28)が務める。「日曜劇場」の主演はベテランが多いのは知られている通りで、山﨑は2020年以降では「テセウスの船」(同年1月期)に26歳で主演した竹内涼真(29)に次いで若い。

 もっとも、フジ「グッド・ドクター」(2018年)や映画「キングダム」(1が2019年、2が今年7月公開)などで主演を経験しており、演技も評判高い。

 山﨑が扮する主人公は若き天才ゲーム開発者・安積那由他。企業に属さず、個人でゲームを制作してきた。インディーと呼ばれる立場である。現実のゲーム業界にも個人、あるいは少人数で制作されるインディーゲームは存在する。

 那由他は「ジョン・ドゥ(名なし)」の名前でゲームをつくり、その素顔は誰一人知らない。このため「ゲーム業界のバンクシー(正体不明の世界的アーティスト)」と称されていた。もっとも、ある事件を理由にゲーム開発から離れた。

 一方、富永繁雄(風間杜夫、73)が経営する老舗玩具メーカー「アトム玩具」は廃業の危機に直面していた。ガチャポンことカプセルトイを製造していたものの、時代の流れに乗り遅れ、資金繰りの目途もつかなくなっていた。

 業を煮やした富永の1人娘・海(岸井ゆきの、30)は会社を建て直すため、ジョン・ドゥを探し、その力を借りて、ゲーム業界に参入しようと考える。

 やがて那由他と「アトム玩具」の面々が協力し合うようになり、巨大IT企業「SAGAS」に立ち向かう。アリと巨像の激闘が繰り広げられる。

 SAGASの社長・興津晃彦に扮するのはオダギリジョー(46)。性加害問題で降板した香川照之(56)の代役なのは知られている通りだが、そうでなくてもオダギリのほうが適役だったのではないか。

 香川の「日曜劇場」への出演は2010年の「新参者」から2021年「日本沈没-希望のひと-」まで計11本。いくらなんでも多いだろう。新鮮味に欠ける。

 観ると力が湧くドラマになりそう。家族で楽しめる「日曜劇場」の本流的な作品である。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。大学時代は放送局の学生AD。1990年のスポーツニッポン新聞社入社後は放送記者クラブに所属し、文化社会部記者と同専門委員として放送界のニュース全般やドラマレビュー、各局関係者や出演者のインタビューを書く。2010年の退社後は毎日新聞出版社「サンデー毎日」の編集次長などを務め、2019年に独立。

デイリー新潮編集部

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