原監督に「責任を取ってもらいたい」と巨人が言えない事情【柴田勲のセブンアイズ】

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松田を獲得するよりやるべきこと

 まあ、2年連続のV逸、そしてCS進出がダメとくれば早くも戦力補強の話となる。その候補として今季限りでソフトバンク退団が決定した松田宣浩内野手(39)の獲得調査に乗り出しているという。

 本気で巨人が獲得に前のめりで調査しているのなら、ハッキリ言って大反対だ。なにをいまさらソフトバンクをクビになった選手を獲得しなければならないのか。

 三塁には岡本和真がいるし、内野には若い伸び盛りの選手だって多い。ベテラン選手もいる。ツギハギもいいところだ。

 いろんな経験を伝えてもらう。ムードメーカーである。若手の模範にもなる。「理屈と膏薬(こうやく)はどこへでも付く」というがこの典型だ。結局は保険だろう。ナンセンスだ。松田を獲得するくらいなら増田陸を育てた方がいい。35歳を過ぎた選手を取ってはダメだ。

 そんなことよりもっといい外国人選手を獲得してほしい。アダム・ウォーカーは来季残留が濃厚だというが、グレゴリー・ポランコは流動的だという。

 C.C.メルセデス、ゼラス・ウィーラー、ルビー・デラロサ、チアゴ・ビエイラも残留かどうか未定とか。マット・アンドリース、今季途中で加入したイアン・クロールは退団の方向だという。投手でそれなりの年俸を払いながら戦力になったのは何人いるかだ。

 ポランコはあのパワーだ。常時出場していれば35本は打ったのではないか。だが原監督は時にスタメンから外し、時に途中交代させた。なぜ目をつぶって徹底して起用しなかったのか。しかも相手が嫌がるオーダーを押し通せなかった。そのへんが原采配の今季の疑問点だ。

全員がだらしなかった

 投手陣の大黒柱・菅野智之、そして打者陣の大黒柱・岡本和がシーズンを通してチームを引っ張っていけなかった。坂本勇人の3度にわたる離脱も響いた。

 8投手がプロ初勝利を挙げた。プロ野球記録だというが大黒柱がしっかりしていなかったからだ。20本塁打以上が5人も出てのBクラス……情けない。6、7、8回の中継ぎ陣も最後まで固定できなかった。

 全員がだらしなかったということだ。

 巨人は開幕から9試合を8勝1敗で球団史上最高の開幕ダッシュに成功した。阪神はセ・リーグ史上最悪の開幕9連敗を喫した。

 これはぶっちぎりで優勝かと思ったが、最後はBクラスに沈んだ。対する阪神は日本一への挑戦権を手中にした。

 巨人は秋季練習からチームの立て直しに本腰を入れてもらいたい。10月に巨人の戦いを見ることができないのはOBとして寂しい限りだ。

柴田勲(しばた・いさお)
1944年2月8日生まれ。神奈川県・横浜市出身。法政二高時代はエースで5番。60年夏、61年センバツで甲子園連覇を達成し、62年に巨人に投手で入団。外野手転向後は甘いマスクと赤い手袋をトレードマークに俊足堅守の日本人初スイッチヒッターとして巨人のV9を支えた。主に1番を任され、盗塁王6回、通算579盗塁はNPB歴代3位でセ・リーグ記録。80年の巨人在籍中に2000本安打を達成した。入団当初の背番号は「12」だったが、70年から「7」に変更、王貞治の「1」、長嶋茂雄の「3」とともに野球ファン憧れの番号となった。現在、日本プロ野球名球会副理事長を務める。

デイリー新潮編集部

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