原監督に「責任を取ってもらいたい」と巨人が言えない事情【柴田勲のセブンアイズ】

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ソフトバンクが有利に思われたが……

 まずはオリックスにリーグ連覇、おめでとうと祝福したい。ソフトバンクと同率で並び、当該球団同士の対戦成績(オリックスの15勝10敗)で優勝が決まった。私も長い間、プロ野球界に携わっているがこんなことは聞いたことがなかった。NPB史上初だという。

 正直なところ、総合力で優るソフトバンクが有利だと思っていた。やはり投手陣がいいチームは強い。その中でもエース・山本由伸が大黒柱として働いたのが大きかった。

 15勝5敗で2年連続の最多勝利、最高勝率、最優秀防御率、奪三振王も獲得した。大黒柱がしっかりしている家は揺れの強い地震が来てもそう簡単につぶれない。改めてその強みを見せつけられた。

 さて巨人だ。ひどいことになった。1日のDeNA戦(横浜)に敗れてクライマックス・シリーズ進出を逃した。4位、5年ぶりのBクラスだ。シーズン負け越しのBクラスは16年ぶり、原辰徳監督にとって監督通算16シーズンで2度目のBクラスだ。

「責任を取ってもらいたい」と言えない事情

 いまはシーズンが終わったばかりだ。巨人なりのアクションを起こすのはもう少し先になると思う。

 前回、CS進出がダメだったら、いろんな問題が噴出すると記した。原監督の進退問題も取り沙汰されるのではないか。昨年オフ、3年契約を結んだが成績次第ではどう転ぶか分からない世界だ。

 でも巨人サイドから原に「責任を取ってもらいたい」とは言わないし言えないはずだ。というのも原監督は2005年に堀内恒夫監督が成績不振の責任を取って辞任した際、後任監督として復帰した。03年に辞任して2年後のことだった。急きょの登板だった。

 また18年には高橋由伸監督の後任として3度目の巨人監督に就任した。これは球団史上初のことだ。いわば苦しくなった時の「原頼み」である。

 巨人には原監督に借りがある。

 もちろん、原監督から「4位になった責任は私にあります。責任を取りたい」と申し出があれば話は別だが、「今年の成績では辞めるに辞められない。もう一度勝負したい」と言えば、巨人も「どうぞやってください」と応じるのは確実だろう。

 結局、巨人は原の気持ち次第だ。

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