妻の出産時にも相手の家に…耐え忍んで“ご近所不倫10年”の43歳夫が打ち明ける不満
新婚なのに、妻が妊娠しているのに…
食事時を避けて近所の居酒屋で一杯やることもあった。そんなときに出会ったのが近所に住む恭美さんだった。彼女の夫は1年のうち3分の2は海外で仕事をしているため、夫がいない時期、彼女はその居酒屋でアルバイトをしていた。若いころ未婚のまま出産した彼女には、当時、すでに大学1年生の息子がいたという。
「近所の人が集まるような居酒屋なので、彼女は勤務していない日に客として来ていることもありました。なんとなく話すようになって、彼女の過去も聞きました。18歳で妊娠したことがわかると当時つきあっていた大学生の彼は逃げてしまったそうです。高校卒業時に妊娠5ヶ月で、なんとかバレないうちに卒業はできた、と。実家からも勘当状態となって、親戚や友だちに支えられて出産したんだそうです。出産はしたけど育てるのは大変だったと言っていましたね。赤ちゃん連れで水商売をしてお金を貯め、子どもが小学校に入ると朝晩掛け持ちで仕事をして。ただ、だんだんと親とも雪解け状態になったから、忙しいときは助けてもらえたって。『私はラッキーだったと思う』と明るく話す彼女に惹かれていきました」
出会って話すようになって1ヶ月後、彼女は「パソコンが不具合で困っている」と言った。寛人さんはパソコン関係の仕事をしているため、思わず「見てあげようか」と言ってしまった。恭美さんはパッと明るい表情になった。
「まあ、息子さんもいることだしと思いながら一緒に彼女の家に行くと、誰もいなかった。息子は友人と旅行に出かけたというのを聞いて、まずいなとは思いました。僕はそのときすでに彼女への恋心を意識していましたから」
下心のある男女が、誰もいない家でふたりきりになっている。ブレーキがかかるはずもない。パソコンが直った瞬間、恭美さんは彼に抱きついてきた。そして「なるようになってしまった」のである。
新婚なのに、妻が妊娠しているのに……。彼を非難する要素はいくらでもある。だが、33歳の彼には自制がきかなかった。家に帰りたくない気持ちが背中を押したのかもしれない。
ところが恭美さんは…
その後、恭美さんがすでに再婚しているという話を聞かされ、寛人さんは驚くとともにショックを受けた。
「彼女が独身だと思ったから深い関係になったのにと思いました。自分は結婚していても、相手には独身でいてほしい気持ちがあったんですよ。だけど彼女の夫は日本にいない時期が長いと聞いて少しホッとしたし、逆に情熱がわきおこってきました。どういう心の変化なのか自分でもわからないけど。恋していたんでしょうね」
相手が独身なら関係を持ちたいが、相手が既婚だと知ると恋心がなくなるという男性もいるし、立場が同じだと気が楽だと言う男性もいる。そのあたりは人によるのだろうが、彼の場合は相手の配偶者がいない時期が長かったのがよかったのか、悪かったのか。
「恭美は『前からあなたのことが気になっていたの』と言いました。僕もだよと心から伝えました。彼女はうふふと色っぽい声で笑って。『玄関からじゃなくて裏口から出たほうが誰にも見られないと思う』と気を遣ってくれました。彼女の自宅から僕の自宅までは徒歩5分。本当に近所なんだなと実感しました。その日は家に帰って、二階にあった食事を軽くとって、残りは冷蔵庫にしまって皿を洗った。ふだんそういうことはしなかったんだけど、妻がもう寝ていたので。うれしかったんですよ、恭美とそういう関係になって」
寛人さんは恭美さんと「恋をした」実感を味わっていたのだろう。その後は、仕事に精を出した。迪子さんに疑われないよう、妻の体をいたわり、家事も積極的にするようになった。恋する男は家庭的にもなり得るのだ。
「その直後、恭美の夫が帰国したので2ヶ月くらい会えなかったんです。『帰ってくると夫の監視が厳しいからむずかしい』と聞いていました。居酒屋でのアルバイトもできないそうです。ずいぶん夫に従順なんだなと思っていたんですが、彼女がいないときに居酒屋の常連たちが、『ダンナ帰ってきてるのか。じゃあ、恭美ちゃんもベタベタだな』なんて言っていた。夫に監視されているわけじゃなくて、彼女が夫にベタ惚れなんだとみんなが話しているのを聞いて嫉妬にかられました」
その時期は彼女にメールをしても、ほとんど返信がなかった。2ヶ月後、ようやく彼女から「夫が仕事に行った。今日は息子もいない」と聞き、彼はすぐに恭美さんの家に向かった。
「ダンナさんとどれだけ抱き合ったのか、僕は彼女を抱きしめながらずっとそう言っていました。彼女はうふふと笑うだけで答えてくれない。その瞬間、僕はもう自分の家庭を失ってもいいから彼女にも離婚してほしいと思った。一緒になろう。そう言いました。でも彼女は暖簾に腕押し状態。『ねえ、恋は恋だから楽しいのよ』と帰り際にさりげなく声をかけられました。そういうものかと思ったけど、いや、そんなはずはないとも思った」
最初はそんなふうに「とち狂ったような自分がいた」と彼は言う。だが彼女と会える日が続けば気持ちは落ち着く。
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