巨人1位指名の高松商「浅野翔吾」の評価…“目玉不在”のドラフト戦線でサプライズはあるのか?

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最注目選手ではあるが

 10月20日に行われるプロ野球のドラフト会議。今年の傾向を一言でまとめるのであれば“目玉不在”ということになりそうだ。一昨年は佐藤輝明(近畿大→阪神)と早川隆久(早稲田大→楽天)、昨年も隅田知一郎(西日本工業大→西武)に4球団が1位で競合したが、今年はそこまで人気を集める選手はいないという印象だ。【西尾典文/野球ライター】

 そんな中でも、まず注目を集めることになりそうな選手が、浅野翔吾(高松商)である。夏の甲子園では1試合2本を含む3本塁打をマークし、その後に行われたU18W杯では木製バットでホームランを放つなど、高い能力を見せている。9月28日には巨人がスカウト会議後に1位指名を公言しており、高校生の野手では最注目の選手となることは間違いないだろう。ただ、浅野に多くの球団が入札するかと言えば、その可能性はそれほど高くないという見方も出ている。

「浅野は、今ではここまで高い評価になりましたが、昨年の秋時点では上位候補として見ている球団は少なかったと思います。(170cmで)身長が低いという点もありますが、やはりネックなのは、ポジションですね。内野ができると言うスカウトもいますが、未知数であることは間違いありません。外野しかできないとなれば、昨年の吉野創士(楽天1位)のような、大きなスケールが欲しいと考える人が多いと思います。(1位指名は)多くても2から3球団くらいじゃないでしょうか」(パ・リーグ球団スカウト)

 ここで名前の挙がった吉野は、事前の評価はそこまで高かったわけではなく、楽天の単独指名となっている。他に高校生の外野手で近年1位指名を受けた選手としては、2018年の藤原恭大(ロッテ)しかいない。浅野の指名を公表した巨人でさえ、高校生の外野手を1位で獲得したことは一度もなく、そのことも今年のドラフト候補が“目玉不在”ということを物語っていると言えそうだ。

“二刀流”にも注目

 そして、過去2年間のように大学生に人気が集中する年も多いが、今年は大学生のドラフト候補も判断が難しい選手が揃っている。中でも議論となっているのが、二刀流の矢沢宏太(日本体育大)だ。

 投手としては150キロを超えるスピードのあるサウスポーで、外野手としては抜群の運動能力で高いレベルで走攻守の三拍子が揃い、リーグ戦でも投手、外野手、指名打者でベストナインを獲得している。責任のないファンの立場からはプロでも二刀流が見たい声も上がるが、実際に挑戦するとなれば、相当な現場の理解が必要になることは確かである。

「矢沢は、ピッチャーとしても野手としても大学で相当成長しました。だからこそ、プロ側の判断も難しくなっているというのはありますね。能力と将来性は抜群ですが、どのように扱うかは、球団によって判断は当然分かれますし、各球団が足並みを揃えて“最高評価”にはならないと思います」(セ・リーグ球団スカウト)

 矢沢以外の大学生をみると、投手では荘司康誠(立教大)、曽谷龍平(白鴎大)、金村尚真(富士大)、菊地吏玖(専修大)、野手では蛭間拓哉(早稲田大・外野手)、山田健太(立教大・二塁手)、森下翔太(中央大・外野手)、沢井廉(中京大・外野手)などが有力候補と見られている。だが、どの選手もルーキーイヤーから一軍で活躍できると、太鼓判を押せる選手はいない印象だ。

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