朝ドラの威信回復なるか 朝ドラ「舞いあがれ!」は期待できそうな3つの理由

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【助演陣、制作陣も不安なし】

 舞の父親・浩太に扮する高橋克典(57)と母親・めぐみ役の永作博美(51)は安定感のあるベテラン。兄・悠人を演じる横山裕(41)はジャニーズ事務所屈指の演技派だ。昔ながらの表現をすると、性格俳優である。クセのある人物を演じるのが得意。どうやら悠人も一筋縄ではいかない人物だ。

 50代以上の視聴者の間で話題になりそうなのが、舞の幼なじみ・梅津貴司役の赤楚衛二(28)。既に若い視聴者の間では人気を博しているものの、朝ドラの視聴者の3分の1以上は50代以上。この作品への出演で全世代に名を知らしめるはずだ。TBSの夏ドラマ「石子と羽男-そんなコトで訴えます?-」の演技はリアルだった。シャイで実直な青年に成り切っていた。

 浩太が経営するネジ工場の従業員・笠巻久之役の古舘寛治(54)は作品の重しのような存在になるはず。「ちむどんどん」第114回(9月15日放送)にもゲスト出演し、セリフがほとんどないのに圧倒的な存在感を見せた。「役柄に憑依する」という言葉が一時期流行したが、この人の場合は逆。役柄を自分に引き寄せてしまう。目が離せない。

「兄貴」こと哀川翔(61)も登場する。少女時代の舞に目配りする五島列島の船大工・木戸豪を演じる。兄貴らしい役柄だ。ちなみに木戸も哀川も大の釣り好きという共通点がある。

 又吉直樹(42)も出る。東大阪の古本屋「デラシネ」の主人・八木巌役だ。儲けは考えず、詩を創作しながら店を営んでいる。素に近い役柄ではないか。幼いころの舞や貴司らに店を遊び場として提供する。

 航空大学校編の出演陣も既に発表されている。教官・大河内守に扮するのは吉川晃司(57)。元航空自衛隊のパイロットで、指導が厳しく、鬼教官として恐れられる。

 制作統括は熊野律時氏。大阪出身で、過去には大阪を舞台にした「カーネーション」(2011年度下期)で演出陣に名を連ねた。この朝ドラは放送文化基金賞優秀賞などを受賞し、2000年以降の朝ドラでは間違いなくベスト3に入る。

 やはり明治期の大阪が描かれた「あさが来た」(2015年度下期)のプロデューサーも経験した。視聴者から「大阪を知らない」「大阪の人に失礼」などといった誹りを受けることはないはずだ。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。大学時代は放送局の学生AD。1990年のスポーツニッポン新聞社入社後は放送記者クラブに所属し、文化社会部記者と同専門委員として放送界のニュース全般やドラマレビュー、各局関係者や出演者のインタビューを書く。2010年の退社後は毎日新聞出版社「サンデー毎日」の編集次長などを務め、2019年に独立。

デイリー新潮編集部

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