ロシア女性にハメられた? 日本人外交官の「スパイ疑惑映像」をプロパガンダに利用する“窮地のプーチン”

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2年前には共同通信記者も“餌食”に…

 日本人がFSBのターゲットにされる事件は、同じウラジオストクで2年前にも起きていた。19年12月に共同通信の記者が、「ロシアの軍事機密情報を入手しようとした」としてスパイ容疑で拘束され、国外追放処分になった。

「共同の記者は、拘束される3カ月前に、ロシア軍がオホーツク海への敵艦隊侵入を阻むために、千島列島の2島で新型地対空ミサイルの配備を進めていると内部文書をもとに記事にしたのですが、これが軍当局の逆鱗に触れた」(ロシア事情に詳しいジャーナリスト)

 この時も「証拠映像」が隠し撮られていた。

「飲食店で記者がロシア人男性と食事している様子です。今回と同様に記者の顔まで写った動画が全国放送で晒された。かわいそうにこの記者は取材していただけなのに『日本の特務機関員』とされ、悪い日本人が暗躍していると国民に印象づけるプロパガンダに使われたのです。ちなみに、共同通信のウラジオストック支局にはその後、代わりの特派員が入れ替わりで入りました。つまり、当局は記者の行動をそこまで問題視していたわけでもないのです」(同)

日本人シェフをめぐる“奇妙な報道”

 今回は国際法で身分が保証されている外交官への暴挙だ。さらに一歩踏み込んだわけだが、「いまのロシアが置かれている状況を考えると、日本との外交リスクを冒してでもプロパガンダを行う動機はある」と前出の外務省関係者は続ける。

「戦争が始まり日本が欧米に倣って対ロ制裁を発動した時点で、北方領土問題など遠い彼方。今やロシアにとって日本は“敵国”です。一方、いまプーチン政権は国内の厭戦ムードに悩まされている。21日の部分動員令発令後、徴兵事務所が襲撃されたり、徴兵該当者が焼身自殺を図るなど大変な騒ぎです。そんな中、“敵国”が国内で悪事を働いていると喧伝することで、国民の愛国心を喚起したり、締め付けを図る狙いがあるのです」

 今年6月には、ある日本人を巡って奇妙な報道も見受けられた。サンクトペテルブルクの有名レストランで働く日本人シェフが暴行容疑で逮捕されたというニュースだ。ロシアの国営通信社「スプートニク」日本語版ではこう伝えている。

〈サンクトペテルブルクの裁判所は5日、妻の連れ子を虐待した疑いで、日本人シェフのX容疑者(※記事では実名)の逮捕状を発付した。サンクトペテルブルク市裁判所統一報道部が発表した。 X容疑者の妻で14歳~17歳の3人の子どもの母親が、先に警察に通報した。当事者双方から話を聞いたコムソモリスカヤ・プラウダ紙によると、X容疑者は子どもたちが何か悪いことをした場合、腕を伸ばしたまま一点を見て8時間跪かせ、トイレに行くことも許さなかった。また容疑者は妻のことを殴り、妻の顔半分に麻痺が残ったという。さらに妻の話によると、容疑者はモスクワの有名レストランで働いていたとき、従業員に皿を投げたため解雇された。高温の油が入った鍋を従業員に向かって投げたこともあった。争いは揉み消されたという〉

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