国交正常化50周年でも中国大使は田中角栄の墓参りができず…日中関係がこじれた“2つの行き違い”とは

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 お盆前の7月下旬。中国の孔鉉佑(コウ・ゲンユウ)駐日大使は、ある総理経験者の墓参りを計画していた。50年前に毛沢東、周恩来と握手し、日中共同声明を発出した総理・田中角栄の墓だ。日中関係を劇的に改善した角栄の功績を讃え、国交正常化50年に少しでも花を添えようとした。しかし、墓参りは叶わなかった。

 ほとんど知られていないが、中国側は同時期に、角栄とともに外務大臣として北京を訪問した大平正芳や、78年に日中平和友好条約を締結した福田赳夫・元総理の墓参りも計画していたが、こちらも実現したという話を聞かない。なぜ3人の墓参りはどれも実現しなかったのか。自民党関係者は、日本側の遺族が望まなかったからではないかと話す。墓参を歓迎するムードが日本国内にないということだろう。

 今月29日には都内で国交正常化50年を祝うイベントもあるが、中国から訪日するゲストもパッとしない。唯一、名前が挙がっている大物は唐家●セン(王へんに旋)・元中国外相だ。作家・司馬遼太郎や有吉佐和子とも交流があった知日家で、流暢な日本語を話す。日中関係の大立者だが、84歳という高齢に加えて最近は病気がちで、訪日は難しい。北京で行われた50周年関連のイベントさえ欠席している。

 オンラインで中国の大物がスピーチするという話もあるが、習近平国家主席の出演はないだろう。

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