プーチンがロシア軍人に直接指示の異常事態 専門家は「これで正確な情報はさらに入らなくなる」

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「シン・ゴジラ」

「オーナーは強大な人事権を持っています。そんな“最高権力者”が試合で監督や選手に直接指示をしたとしたらどうなるでしょうか。現場が萎縮するのは間違いありません。選手や監督、GMは、チームを辞めるか、クビになるのを恐れてイエスマンに変貌します。そしてオーナーが喜ぶことしか報告しないようになります」(同・軍事ジャーナリスト)

 その結果、オーナーには間違った情報ばかり届けられる。これでは正しい情勢判断は不可能だ。よってチームは敗北する。

 この軍事ジャーナリストは、2016年に公開された映画「シン・ゴジラ」[庵野秀明総監督(62):東宝)が、この問題を解く鍵になるという。

「映画に登場した首相はゴジラの“駆除”は命じましたが、『ゴジラを多摩川で撃退せよ』などという命令はしませんでした。首相の仕事は、アメリカとの折衝や民間人の避難、そして作戦開始の決定です。作戦の立案、兵員や兵器の移動、戦闘準備、ゴジラの監視といった具体的な任務は、全て自衛隊に一任されていました」(同・軍事ジャーナリスト)

トルーマンの“英断”

 実際の戦史も見てみよう。第二次世界大戦(1939~1945)や朝鮮戦争(1950~1953)で、アメリカの大統領と軍との関係はどうなっていたのだろうか。

「太平洋戦争終盤の1944年、アメリカの陸軍と海軍は『台湾と沖縄のどちらを先に攻略するか』という問題で議論を重ねました。そして、遅くとも10月には、台湾への上陸作戦は見送ることが決定したのです。こうした議論に、当時のフランクリン・ルーズベルト大統領(1882~1945)が深く関与するようなことはありませんでした」(同・軍事ジャーナリスト)

 朝鮮戦争の場合、大統領は重要な決断を下した。戦争末期、アメリカ軍を中心とする国連軍が優勢となっていた。そのため総司令官のダグラス・マッカーサー(1880~1964)は、「戦争を継続したい」と具申した。

「しかし当時のハリー・トルーマン大統領(1884~1972)は、中国やソ連との全面戦争を懸念しました。そこで彼は、マッカーサーを解任するという人事権を発動することで休戦を実現したのです。この歴史的事実から、『国の最高責任者にとって重要な任務の一つは、作戦の指導ではなく戦争の開始と終結を決定すること』だと分かります」(同・軍事ジャーナリスト)

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