25日の中日戦は今季の巨人を凝縮していた試合だった【柴田勲のセブンアイズ】
ヤクルトの強さ
高津臣吾監督が率いるヤクルトが2年連続9度目の優勝を決めた。V2はその高津監督が師と仰ぐ故・野村克也監督が率いた1993年以来、29年ぶりとなる。
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振り返るとヤクルトは一年通して安定した戦いをしていた。開幕直後は3勝3敗だったが4月は12勝9敗、そして5月は16勝7敗1分と調子を上げて6月には8連勝するなど19勝4敗で主導権を握った。
7月2日には2リーグ制後史上最速でマジックを点灯させた。独走でこのままだと優勝は早いと見ていたが、それからコロナ禍で失速した。シーズンは長い。どのチームにも好不調の波はある。ヤクルトの場合はコロナ禍も重なった気がする。
これを乗り越えて8月は12勝11敗1分と、ほぼ五分で乗り切った。DeNAが頑張ったからVがちょっと遅くなったようなもので順当に勝ったと思う。
やはり大黒柱がしっかりしているチームは強い。不動の4番・村上宗隆がシーズンを通してけん引した。コロナ禍の中で山田哲人らが不在の9試合で本塁打を4本放った。
家でも一番大事なのは大黒柱だ。村上を中心にスキのない、大崩れしないチームにまとまった。優勝できた要因はいろいろあるだろうが、これが一番だったのではないか。
一方の巨人は……
さて巨人だ。17日からの9連戦を5勝4敗と勝ち越したが、24、25日の最下位・中日(バンテリンドーム ナゴヤ)に連敗して自力でのクライマックス・シリーズ(CS)進出の可能性が消えた。さらに06年以来16年ぶりとなる2年連続シーズン負け越しも決定した。
これで3位以下が確定し4位の阪神、広島とのゲーム差は0.5だ。阪神、広島の残り試合は3、巨人は2、これはもうなにがなんでも2勝するしかない。
それにしても戸郷翔征、菅野智之の両エースで連敗とはガッカリだ。最後の大詰めに来てこの二人で勝てなかったのだから、今年は巨人の年ではなかったということだ。
先ほど大黒柱の例えを出したが、今年の巨人は投打の大黒柱がダメだったということに尽きる。菅野と岡本和真の不振だ。
25日の中日戦、菅野は2週連続の中5日での登板となった。今季は中6日を守り、時には中12日とするなど大事に起用してきた。勝負所での投球に期待してのことだろう。
だが、結果は5回途中4失点で降板だ。原辰徳監督は「本来のピッチングではないね」と話していたが、真っすぐのコントロールが悪いから変化球に頼る。頼り過ぎだ。打者を抑えるのがスライダーなら打たれるのもスライダーだ。
いい真っすぐがあってこそスライダー、フォークといった変化球が生きる。打者をかわそうという投球ではなく、打者の外角低めにビシッと決めるような真っすぐがほしい。ここ2、3年の菅野を見るとこう思う。10勝に届かなかったのもわかる。
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