レスリング、パワハラ騒動から4年…小中学生レスラーが熱戦も「栄和人杯」が注目されない理由
伊調馨へのパワハラ騒動
「栄和人杯」の開催実現には、日本レスリング協会副会長で元参院議員の谷岡郁子・至学館大学学長の存在が大きかった。
2018年、栄氏は伊調馨さんへのパワハラ騒動のさ中にあった。批判が強まる中、栄氏は大事な試合中に芸能人と食事に行くなど、その脇の甘い行動に対して、「泣いて馬謖(ばしょく)を切る」で谷岡学長は栄氏のレスリング部の監督職を解いた。しかし、栄氏の指導力に全幅の信頼を置き、批判も渦巻く中、監督職に復帰させている。
あのパワハラ騒動とは一体、何だったのか。
東京五輪を前に、日本レスリング協会の強化本部長職から栄氏を追い落としたい何らかの力が働いていた。古い話を引っ張り出して、「栄氏が五輪4連覇の伊調馨選手にパワハラをした」と内閣府に告発し、「週刊文春」に書かせる政治的な動きを見せた。国民栄誉賞の伊調選手は、世間から多大なる支持を集めていたこともあり、新聞やテレビメディアは彼女を叱責した栄氏を一方的にバッシングした。
有識者らの第三者委員会が開かれ、栄氏が伊調選手に警視庁への出入りを禁じた(練習場を与えないように妨害した)といった告発の根幹は否定された。さらに、調査報告書では〈どれ一つをとって見ても、小さい、せせこましいというのが正直な感想である〉としながら、民事上の規定、裁判で採用されるパワーハラスメントの概念より広い範囲で調査した上で、一部をパワハラ認定した。
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