話題作が目白押し! 秋の新作アニメでも“ひとり勝ち”「ジャンプ」不動の強さの秘密

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 ここ数年、「鬼滅の刃」や「呪術廻戦」といった相次ぐ大型ヒット作の登場で活況に沸くアニメシーン。2022年10月からスタートする新作アニメのラインナップが、近年でも「とりわけ充実している」と評判で、この盛り上がりはまだまだ続きそうである。【数土直志/ジャーナリスト】

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 秋の新作タイトルは40作品以上にのぼる。昨今のアニメブームに牽引され、制作本数が高止まりしているだけでなく、「話題作」「注目作」も目白押し。一方で新作のラインナップから読み取れるのは、アニメビジネスの潮流の変化だ。

 10月シーズンの注目タイトルをいくつか挙げると、まずは「機動戦士ガンダム 水星の魔女」、「うる星やつら」、「チェンソーマン」といったところが大きな話題を集めている。「水星の魔女」はガンダムシリーズでは5年ぶりとなる新作TVシリーズで、10月2日からスタート(毎週日曜17時~)。本作のためにMBS・TBS系全国ネットが、週末の夕方帯にわざわざアニメ枠を復活させたほどの力の入れようだ。ガンプラなどの商品化もすでに始動している大型プロジェクトで、ガンダムTVシリーズ初の女性主人公といった“挑戦”にも期待が高まっている。

 80年代に一世を風靡した「うる星やつら」は36年ぶりの再アニメ化となる。当初から4クール分(12ヵ月分)の制作を決めるなど、こちらも大きな勝負に出てきた。前シリーズの印象がいまだ強く残るなか、令和の時代を反映させ、新しい世代にどうアピールするかが鍵になりそうだ。

メガヒットを予感させる大注目作

 なかでも「チェンソーマン」の注目度は別格だ。親が遺した借金返済のため“チェンソーの悪魔”とともにデビルハンターとして暮らしてきた少年デンジが、裏切りで殺された際に契約を交わして悪魔の心臓を持つ。そして“チェンソーマン”として蘇ったことから始まる物語だ。

 原作は18年12月から20年12月まで「週刊少年ジャンプ」で第1部を連載、今年7月からネットメディア「少年ジャンプ+」で第2部が始まった。単行本は累計発行部数1500万部を超え、「鬼滅の刃」「呪術廻戦」と大型ヒットが次々と飛び出す「少年ジャンプ」連載作品のなかでも“次の4番打者”として期待がかかる。

 さらに「チェンソーマン」は変化の激しい現在のアニメ業界の動きをあらゆる面で体現した作品でもある。

 ひとつは「少年ジャンプ」連載作品が原作であること。もちろんジャンプからのアニメ化作品は「ONE PIECE」や「ドラゴンボール」など昔から大人気だが、鬼滅や呪術のほかにも「SPY×FAMILY」や「Dr.STONE」など新たなヒット作が続々と生まれており、勢いに乗ってアニメ化本数もうなぎ上りとなっている。

 他にも「BLEACH千年血戦篇」や「僕のヒーローアカデミア」(第6期)、「SPY×FAMILY」(第2クール)、「ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン」が控え、放送継続中の「ONE PIECE」に「ドラゴンクエスト ダイの大冒険」なども加わる。さらにNetflixでは9月から「BASTARD!! ―暗黒の破壊神―」(第2期)の配信も始まるフィーバーぶりだ。

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