「オレの結婚は何だったんだ。そんな気持ちです」 不倫がバレた43歳男性が語る“再構築”できなかった夫婦仲の結末
毎年発表される司法統計には離婚の申し立てを行う際の「動機」についての調査項目がある。令和2年度の調査では、「異性関係」を動機とする申し立てが、夫側から2132件、妻側から6505件あった(婚姻関係事件数 申立ての動機別申立人別 全家庭裁判所)。異性関係、すなわち不倫を理由に別れようという夫婦がこれだけいることになる。
だがトップというわけではない。夫、妻ともに「性格が合わない」という動機が最も多いし、妻側では「生活費をわたさない」「精神的に虐待する」といった理由での離婚申し立ては1万件以上ある。「異性関係」は全体との割合でいえば、夫で約14%、妻では約15%だ。案外、不倫発覚が離婚に直結するわけではないのかもしれない。
実際、夫の不倫が発覚してもそのまま結婚生活を続ける例は珍しくない。タレントの三田寛子にしても、夫・中村芝翫の3度目の不倫騒動でようやく別居を決断したと報じられたが、今のところ離婚しそうもない。一方、先日フランスに移住を決めた杏は、不倫発覚後に「離婚しない」と決めたものの、8カ月後にやっぱり離婚となった。
『不倫の恋で苦しむ男たち』などの著作があり、男女問題を30年近く取材してきたライターの亀山早苗氏が今回レポートするのは、夫の不倫がバレたあと「離婚しない」形に一度落ち着いた夫婦だ。しかし妻の冷たい態度に夫は耐えきれず、結局、関係は破綻。やはり不倫発覚後の夫婦関係の再構築は容易ではないようだ。もっとも夫にとっては、離婚以上の悲劇が控えていたのだが――。
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不倫をして配偶者にバレたとする。その事実は消せない。あとはどうするかを話し合うしかないのだ。離婚するのか、このままの生活を維持するのか。結論としてはふたつにひとつ。ただ、それですっきりすべて解決とはいかない。離婚するにはそれなりの取り決めが必要だし、再構築を選択するならその方法を模索しなければならないだろう。
「離婚はしない。今の生活を続けていく。そう決めたんですよ。それから2年、とうとう離婚しました。いったい、何がどうなってそうなったのか……。もちろん僕が不倫をしたのがいけないのはわかっているけど、最後は誰がいけなかったのかもわからない……」
陰鬱な表情でそう語るのは、中島則晃さん(43歳・仮名=以下同)だ。彼が不倫をしていたのは39歳からの2年間。仕事時間が不規則なのをいいことに、3日にあげず不倫相手の和歌子さんの家に寄っていた。和歌子さんとは同じ職場だった。
「妻には言っていませんが、本当は離婚してもいいかとさえ思っていた。それほど和歌子に惚れ込んでいました。実は和歌子の妊娠がわかったタイミングと、僕の不倫が妻にバレた時期が同じだった。そこから話がおかしくなっていったのです」
妻のこずえさんと一悶着あってから和歌子さんは精神的に不安定になり、流産。要求された200万円を渡すと、和歌子さんは去って行った。三者での話し合いの場が持たれた時、和歌子さんは去り際、妻に「則晃さんは、奥さんに愛情を感じたことは一度もないと言っていましたよ。それに最後は暴力で無理強いされて妊娠したのです。だからいくらもらっても私の傷は癒やせない」と告げたという。
「ひどいでしょ。僕は妻を愛していないなんて和歌子に言ったことはないし、生涯で一度も暴力なんてふるったことはありません。子どものころから空手を習っていたので、人に手を挙げるなんて恐ろしくてできないと思っている」
中肉中背、顔立ちもソフトな則晃さんが武道をたしなんでいたとは想像していなかったので少し意外だった。
「空手以外では優柔不断なのです。だからこういう目にあうのですけどね」
こちらの気持ちに気づいた彼は、ニッコリ笑いながらそう言った。
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