ミスは絶対許されない国葬警備 警視庁が「反対派デモ」より気にする“7年前の大失態”
「突発待機」
「やっかいなのは、国葬反対派と国葬賛成派がぶつかる可能性があることです。8月15日の終戦記念日には、靖国神社で右翼と天皇制に反対する反天連(反天皇制運動連絡会)が殴り合いの喧嘩をしたこともある。それと同じように、国葬反対派と国葬賛成派が衝突したら大変な騒ぎになりますよ」
そんな事態に備え、警視庁の機動隊が派遣されるという。
「機動隊の中隊(50人)が3隊、武道館に近い靖国神社や国会前などに大型バスで待機することになると思います。何かあったときのために待機する機動隊を警察用語で『突発待機』と呼んでいます」
海外のVIPを狙うスナイパー(狙撃手)対策も抜かりはない。
「武道館の周辺のビルの屋上に私服の警察官を配置し、近くのビルの屋上などに不審な人物がいないか確認します。当日は、会場上空にヘリコプターを飛ばしますが、警察官を配置しているビルはヘリコプターの警察官に事前に伝えておきます。ところが当日に急遽、ビルのオーナーから許可をもらって、私服警官が屋上に配置された場合、ヘリコプターが頭上に来たら左手を水平に伸ばすなど、あらかじめ決めておいた合図で警察官だと知らせるのです」
今回の警備で警察が最も心配しているのは、ドローンによる攻撃だという。
「2015年4月、ドローンが首相官邸の屋上に着陸する事件が起こり、官邸は大騒ぎになりました。犯人は元航空自衛隊員、反原発を訴えるためでした。ドローンには、福島の砂が100グラム積載されていました。砂だから良かったものの、もしこれが爆弾だったら大変なことになっていました。官邸は、ドローン攻撃にはまったく無防備だったことが露呈してしまったのです」
この事件以来警察は、ドローン対策に頭を悩ませていた。
「警視庁の機動隊は10隊ありますが、それぞれの部隊に3名ほどドローンを操縦できる隊員がいて、彼らが出動することになるでしょう。武道館周辺でドローンが飛んでいたら、ジャミング(電波妨害)して落とすか、警察のドローンを飛ばして捕獲します。ドローンに網を装着して、不審なドローンを引っかけるのです。現在、網を使ってドローンを捕獲する訓練をしているそうです」
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